アカデミック・カフェ&教科内容学会プロジェクト研究 2018.6.27

日頃の活動の発表をする機会が2つありました。

1つ目は、昨年サヴァティカル研修で行ってきたカッセル・ドクメンタとヴェネティア・ビエンナーレについて、学部のアカデミック・カフェで報告しました。
内容は、
「現代美術って何?-国際芸術祭から見る現代美術」と題して、
国際芸術祭の紹介を通して現代美術作品の様相を伝え、その作品成立の根拠としてのコンセプチュアルな理念や、インスタレーションなどの表現形式についての見方や考え方について発表しました。写真を多く使って、美術が専門でない参加者が、今まで捕えられていた美術の概念から解放され、美術による新しい世界の見方が広がるようにという意図です。
コーヒーを飲みながら、柔らかくでもアカデミックに。

2つ目は、名古屋で行われた教科内容学会でのプロジェクト研究の発表。
教科内容学(教員養成系大学の教科専門教員が、その専門内容を教育実践における教科内容として構成し、体系化すること)において、美術が対象とする内容や構造の意味とそれを知る方法を確定するし、そこから美術の教科内容の原理を導き出し、それを基にした授業実践例を発表しました。今回は、その認識論としての定義の共通構造案を提示し、各教科が同じ構造で定義することによって、教科間の特質の違いを見出すよう試みました。

アカデミック・カフェ報告
アカデミック・カフェ報告
アカデミック・カフェ報告
アカデミック・カフェ報告
教科内容学会でのプロジェクト研究発表
教科内容学会でのプロジェクト研究発表
教科内容学会でのプロジェクト研究発表
教科内容学会でのプロジェクト研究発表
教科内容学会でのプロジェクト研究発表
教科内容学会でのプロジェクト研究発表
教科内容学会でのプロジェクト研究発表
教科内容学会でのプロジェクト研究発表
教科内容学会でのプロジェクト研究発表

「まつえ市民大学講座」
「空間を彩るアート -宙に浮かぶ形を作ろうー」(2017.8.5)

松江市主催の生涯学習講座「まつえ市民大学講座」の美術コースで講座を開催しました。
今回は「空間を彩るアート -宙に浮かぶ形を作ろうー」と題して共同制作をしました。

透明、半透明な素材でオブジェを作り、それを集めて天井から吊り下げ、そのスペースを「光の森」のような空間にしようという試み。

空間の装飾ということから、まずショーウィンドーのようなディスプレイデザインの例を挙げ、それから現代美術のインスタレーションという表現形式が生み出す新しい空間世界を紹介しました。

でも受講生の平均年齢は65歳なので、難しいことを考えなくてもいいよ、ということにして、子供のころに戻って図画工作の「造形遊び」のように、作ることそのものやその時間を楽しもうと呼びかけました。

ともかく、うまく作ることや完成させることを考えないで、自分の気持ちの向かうままに作ること、作ったらその中で自分たちが楽しむことがこの講座の趣旨でした。

固定観念を破って制作することも難しいですし、インスタレーションとして成立しているかどうかも別にして、意外と一つ一つのオブジェが面白く、受講生は、出現した「光の森」(と言うほど森ではないですが)を自分たちで見て、不思議そうな顔をしつつ喜んでいました。

まつえ市民大学講座
まつえ市民大学講座
まつえ市民大学講座
まつえ市民大学講座
まつえ市民大学講座
まつえ市民大学講座
まつえ市民大学講座

廖修平先生のこと

1.廖修平先生との出会い

大学院時代のコラグラフ作品
大学院時代のコラグラフ作品(1977)

上の作品は私が筑波大学の大学院生だった時に版画の実習授業で制作したものです。当時台湾人でニューヨーク在住の版画家、廖修平(リャオ・ショウピン)先生が客員教授として大学に招聘され、先生から1年間このコラグラフという版画を教えていただいた。もう40年も前のことになります。
コラグラフという版画は、紙、布、金属等種々の厚みのある素材をコラージュし、またモデリングペーストなどアクリルのメディウムを塗り込め凸凹を付けた厚紙を版とし、それを凹版印刷あるいは凹凸版の一版2色印刷するものです。今では日本でもコラグラフは版画手法の一つとしてだいぶ認められてきたが(それでもコラグラフを凸版版画として捉える向きが多々あります。基本的には凹版として発展してきたのが事実です)、当時はまだ日本ではほとんど知られておらず、私たちはこの外国からの先生の授業を、興味を持ちながらも恐る恐る受けていました。
廖先生は、他の大学の指導教員の先生方とは全く違っていました。彼らは私たちを全く自由に、放っておいてくれたのですが、廖先生は一つ一つの内容を丁寧にまた激しく熱心に教授してくださった。自らあみ出した独自の技法も惜しげもなく披露し、「この意味分かる?」という口癖を連発しながら、片時も休まず学生の間を歩き回っていました。先生からは自分の持っているものはともかく全部教えようという熱意を感じました。私はわたしの持っていないエネルギーに感心しながらも、実はその気迫と熱心さには少々たじろいだものでした。
当時の私は、殆ど授業に出ず雀荘や喫茶店に入り浸り、気だるい自由と怠惰を貪りまくっていました。傲慢にも、大学の授業には自分の求めるものはないし、何より芸術は人から教わるものではないと思っていました。自分で求め歩き、本を読み、試行錯誤して自ら掴み取ったものしか信じない偏屈な人間でしたが、かと言って自分の作品など簡単に出来るはずもなく、自分なりにはかなり悩み苦しんではいました。しかし、ろくに学校にも行かず先生にはことごとく反発し、そして「何者でもなかった」私を、廖先生は疑いも持たず「何者かになる」と信じて教えてくださった。その純粋な教育観と人間性に私は感動しました。私はそれまで出会った教員に影響を受けるということがほとんどなかったので、廖先生は教えていただくということのありがたさを感じた、また人間として信じてもよいと思える最初の先生でした。
廖先生の制作に対する純粋で真摯な態度に、私は強烈な印象を受け感動しました。しかし、私は持前の怠惰さで、その廖先生の授業さえ次第に怠けるようになっていたという記憶が残っています。今の私の基盤は大学時代が培ってくれたものだと、その点では悔いはないが、廖先生の授業をリタイアしてしまったことは我ながらつくづく情け無いなぁと思っていたのですが、先日荷物の中から上のような作品が何点か出てきて、一応最後まで頑張ったんだということが分かりホッとしました。

大学で廖先生と
大学で廖先生と

2.コラグラフ再び

「島大通信」の表紙に使ったコラグラフ作品
「島大通信」の表紙に使ったコラグラフ作品(1994)

大学卒業後、私は高校教員、大学教員として美術と絵画を教えながら自分の絵画作品を描いていました。もともと自分勝手に始めた絵描きというヤクザな商売の中で、学校教育という場所で自分の好きなことを教えることで生活ができ、しかも休みを利用して自分の制作ができるというのは全く僥倖と言うべきことですが。
島根大学に赴任して3年目の1994年当時、私は「STUFF」というシリーズで制作していました。私の描いていた作品はこのHPのを見ていただきたいのですが、1992年からこのスタイルで作品を制作・発表していました。一方、大学で年に2回発行している「島大通信」の表紙を任されていて、それには自分の描く絵画のスタイルではなく、他の面白いと思うスタイルや手法を自由に描いて載せてもらっていました。ある時、以前教わったコラグラフでこの表紙の作品を作ることを思いつきました。それが上の作品です。アクリルメディウムが乾かないうちにその場で感覚的にストローク等の跡を付け凸凹の版にした作品です。
その3年後、私は「STUFF」のスタイルに見切りをつけ、新しいスタイルに移行して行きます。3年前には全く気付かなかったのですが、その新しいスタイルとは、このコラグラフで表現しようとしていた内容-「自分がこの時、この場で生きているといることをアクションの跡として示し、絵画を時間と空間がともに収斂する場とする」-ことをコンセプトとしたものでした。その表現のために今までの絵画制作からコラグラフという版画制作に向かったのでした。(正確に言うと版画家に転向したわけではなく、描きたい作品のために版画という手法が必要だったということで、絵画での表現を辞めた訳ではなかったです)
3年前に軽い気持ちでちょっとだけ取り組んだコラグラフが、その後自分が目指す作品になるとは全く考えていませんでしたが、何か運命的な予感があったのかもしれません。
この制作の転換を機に、自分のコラグラフ制作と大学院時代からあこがれていたポップ・アートの研究にあたるため、ニューヨークでの研修を考えるようになりました。その時ニュージャージー在住の廖先生のことが脳裏に浮かびました。早速廖先生に連絡を取り、以前廖先生が教鞭をとっていたシートン・ホール大学の客員研究員になるための手続きをしました。
廖先生はたまたま客員教授として私に授業で教えただけで、その後20年近くも音沙汰のなかった一学生の申し出を快く引き受けてくれて、当時のシートン・ホール大学芸術学科の客員研究員の資格を取得できるよう手はずを整えてくださいました。そしてそれをもとに文化庁派遣芸術家在外研修員制度に応募し、ニューヨークでの1年間の研修を行うことができました。

3.ニューヨークでの研修

プリントメイキングワークショップで制作した作品
プリントメイキングワークショップで制作した作品

1997年、私たち家族がアメリカに渡った日、廖先生は私たちをニューアーク空港まで迎えに来てくれ、その日は先生宅に泊めていただいた。その後私たちの家の賃貸契約、ソーシャル・セキュリティー・カードの取得等アメリカでの生活の最初の段取りのほとんどを手伝っていただいた。私たち家族は、3人の子供はそれぞれ公立の小学校の1年と6年、高校の1年生として地元ニュージャージーの学校に通い、私は週のうちの2~3日をマンハッタンの23stにあるプリントメイキングワークショップで版画を制作し、その他の日は大学での研修や家での制作にあてるという生活でした。
時々朝早くに廖先生から「アライ、ちょっと来て」という電話が入り、私は先生の制作を手伝うため車で25分ほどかけて廖先生宅に行きました。廖先生は当時シルクスクリーン制作のための薬品で鼻をやられていて、替わりにその処理を行ったり、たまにはその時廖先生が制作していたペインティングの作品の中の一行程-それはコラージュした画面に絵具を塗り、それを凹版画の要領で拭き取る作業でしたが-を手伝ったりしました。作業が終わると昼にはいつも近くのイタリアンレストランに連れて行っていただいた。今でも廖先生の分厚い作品集の中のその作品を見ては「この部分は俺が手伝ったんだよなぁ」と思ったりしています。
プリントメイキングワークショップで制作した版画作品は、シートン・ホール大学のギャラリーとソーホーのキャスト・アイアンギャラリーの2か所で展示させていただいた。その他子供の学校行事に参加したり、フロリダやカナダ、グランドキャニオンなどに旅行したり、ニューヨークでの1年間の生活は私の人生の中でも特別なものになっている。とても語りつくせないので、参考にこのHPの[essay]の「NEW YORK HANGING AROUND」を見ていただきたい。

キャスト・アイアンギャラリーでの個展
キャスト・アイアンギャラリーでの個展

またその12年後の2010年、研修先だったシートン・ホール大学のギャラリーでグループ展を開くことができました。10日余りの滞在期間中、当時の学部長だったDr.Chuのお宅にホームスティしながら、展覧会行事のほか、ニューヨークの美術館や当時私たちが住んでいた家を訪問するなど、なつかしさに浸った旅でした。このこともHPの[topics]「ニューヨーク滞在日記①~⑤」に詳しく書いています。

シートン・ホール大学ウォルシュギャラリーでのグループ展
シートン・ホール大学ウォルシュギャラリーでのグループ展

4.廖先生との再会

廖修平「版図彍張 Expanding the Scope of Printing : a Gifted Venture with Liao Shiouping」展
廖修平「版図彍張 Expanding the Scope of Printing : a Gifted Venture with Liao Shiouping」展

そして今年廖先生は80歳になられた。とてもお元気で制作意欲も旺盛です。今まで先生は母国の台湾での制作発表や台湾師範大学での後進の指導だけでなく、世界各地での発表や版画の普及活動で多くの功績を残しています。それを讃えて今年は台湾各地で大規模な記念展が行われています。先生には台湾のみならず世界各国に教え子も多いため、その展覧会には多くの教え子の作品も同時展示されることとなりました。その一つが2月27日から3月20日まで台南市の台南文化中心で行われた「版図彍張 Expanding the Scope of Printing : a Gifted Venture with Liao Shiouping」展です。
私もこの展覧会に出品し、また参加するために台湾に行ってきました。台南市に着くとまずは飲茶のレストラン「度小月担仔麺」で廖先生と再会しました。ここは担々麺発祥の店。本場の飲茶も本当においしい。廖先生とは10数年ぶりの再会でしたが、全く変わることなく昔から知っているいつもの廖先生でした。

「度小月担仔麺」で廖先生と再会
「度小月担仔麺」で廖先生と再会

この展覧会では1階の展示室に廖先生の作品約70点の展示、2階には廖先生の教え子達、アメリカ、カナダ、韓国等9か国から67名の版画作品が展示されました。

廖先生の教え子たちの作品展示風景
廖先生の教え子たちの作品展示風景
このあたりが日本の作家(私の作品は一番左)
このあたりが日本の作家(私の作品は一番左)

展覧会のレセプション、懇親会も盛大で、私たち出品者も台湾式のたいへんなもてなしを受けました。

スピーチをする廖先生
スピーチをする廖先生

余談ですが、もてなしと言えば展覧会関係だけでなく、台湾滞在中あらゆる場面で温かいもてなしを受けました。ちょうど私の大学の同級生が、台南市の「台南應用科技大学」版画科の客員教授として来ていたので彼とも再会(上の写真の私の右隣)し、彼の紹介で、台南應用科技大学内のホテル(ホテル学科の実習用ホテルでレセプションを学生が務めていた)に泊めていただいた上、版画科の主任教授の先生には朝、昼、晩とも台湾のおいしい料理をいただいた。版画科の学生達とも交流を深め、幸運なことに簡単なレクチャーもさせていただいた。また台北に回ってからも、台湾師範大学版画科の先生にお世話になるなど、台湾の方々のホスピタリティーに感激しました。

廖先生の大回顧展は台南市を皮切りに高雄文化中心、桃園文化中心を巡回し、今年9月からは台北市の國立歴史博物館で「福彩、版華。廖修平之多元藝道」という大回顧展が開催されています。

「福彩、版華。廖修平之多元藝道」展ポスター
「福彩、版華。廖修平之多元藝道」展ポスター

40年にもわたってずっと慕っていられる恩師に出会えたのは本当にうれしいことです。
今、日本でも当時の教え子たちが廖先生を招いて展覧会を開こうと計画中で、もうすぐまた廖先生に会えそうです。

SEED展vol.6 2016.8.3-8.8 島根県立美術館

私が島根大学教育学部美術研究室(現島根大学教育学部美術専攻)に赴任してからもう25年が経ってしまいました。その間送りだした絵画専攻ゼミ生は68名を数えます。
卒業生たちの多くは教職に就き、または何らかの形で美術に縁を持ち続けている者も多いのですが、それぞれ忙しい日々の中で、自分の絵を描き続けることはなかなか大変なようです。指導してきた者としては、卒業しても「絵を描く」ということを自分の生き方の糧として大切にして欲しいという気持ちがあります。絵画は大学の勉強の中だけで終わるものではないと思っています。そして、実際にはその継続が困難な卒業生が、社会に出てからも制作を続ける手助けになればと思い、15年前にこのSEED展(新井研究室卒業生・ゼミ生展)を企画しました。
2001年に第1回展を開催し、それから3年ごとに続けてきて今回で第6回展になります。そして、これはひとつの決断だったのですが、16年継続してきたこの展覧会も、一応今回を持って終了することとしました。
最後ということもあり、今回今までで最も多い32名の卒業生・ゼミ生が参加しました。32名は卒業後それぞれ様々な生活を営んでいます。したがって今回の展示もその卒業生ひとりひとりの生き方の上で生まれた多種多彩な作品となっていたわけで、この卒業生たちがそれぞれ自分なりに持ち続けてきた絵画への思いを、これを機に作品に込めてくれたのがこの展覧会の意義だったと考えています。
会期中、たくさんの皆さまにご高覧いただき、また励ましていただきましたことを深く感謝しております。

※なおここでは会場全体の様子が分かるようパノラマ写真を載せました。会場や作品の詳しい様子については[exhibition]をご覧ください。

SEED展会場風景
SEED展会場風景
SEED展会場風景
SEED展会場風景
SEED展会場風景
SEED展会場風景

美研のあれこれ⑪

大原美術館
大原美術館

前回のtopicsが美術館巡りを半年分まとめて記録したのと同じように、今回「美研のあれこれ」もこの夏からの半期分をまとめて書くことになってしまいました。

もっとこまめに書かなくてはと思いつつ・・・・まぁ今年中に間に合っただけでもいいとして。

1.オープンキャンパス(8月7日)

島根大学教育学部は8月7日(木)にオープンキャンパスを開催しました。
午前中の全体説明に続いて午後は各専攻で個別入学体験が開かれました。
「美術専攻」では教員による専攻の説明(下の①②)と学生による授業の説明や交流(下の③④)、教員による持参作品の講評(下の⑤)という内容で実施しました。

専攻・コース入学体験 「ようこそアートの世界へ」
① 美術専攻4年間の学びについて
美術の各分野の紹介のほか、パワーポイントでカリキュラムの特徴・学生生活・実習や専攻別体験などを説明しました。
②推薦・前期入試について
推薦入試の内容と前期入試について説明し質問を受けつけました。
③絵画室などの施設と学生作品見学
学生が絵画室、彫刻室、デザイン室などの施設とそこに展示した授業作品を紹介し、授業の内容などを説明しました。
④在学生との交流会(写真①)
在校生15名ほどが絵画室で参加生徒と交流を持ちました。授業のこと、課題のこと、学生生活のことなど和気あいあいと話をしました。
⑤「持参作品の講評」 
参加者が持参したデッサン、水彩画、油彩画、彫刻・工芸作品、ポスターなどのデザイン作品等を専攻の教員が講評・アドバイスをしました。


写真①

③の学生による施設や授業作品の解説はとても好評です。学生自身の口から大学生活のことや入試のことなど直接話を聞けるので、参考になりまた親近感がわくようです。
また私たち教員は特に⑤の「持参作品の講評」に力を入れています。たくさんの高校生の作品を見、またそれを通して高校生や先生方との交流を深められたら幸いです。

また島根大学教育学部美術専攻について興味のある方、質問等のある方は新井までメール(arai@edu.shimane-u.ac.jp)にてご相談ください。
なお美術専攻のデジタルパンフレット2014年版が、島根大学教育学部ホームページの以下のサイトでご覧になれます。
URL http://www.edu.shimane-u.ac.jp/ より「専攻分野」→「美術教育」→「美術教育専攻パンフレット2014年度版はこちら」
また、私たち教員スタッフについては同じく島根大学教育学部ホームページ「教育研究スタッフ」→「美術教育」でご覧になれます。

2.美術館ワークショップ(8月9日〜12日)

今年も島根県立美術館で子ども向けのワークショップを開催しました(写真②)。
これは3年生の専攻別体験学修の一環で、前期の「造形授業構成研究」授業の中で企画、題材設定、演習等をし、夏休みに美術館で実習を兼ねてワークショップを開くものです。
このワークショップで学生は美術題材の設定から実際の説明・指導ばかりでなく、様々な参加者との対応までを体験し、すぐ後期に控えている教育実習への基礎を築くものとなります。
今年は8月9日から12日の4日間、同時期に企画展として開催されている、「浮世絵」展とリンクして、「めざせ版画職人 色を重ねて浮世絵ランプ」と題して、木版の印刷を重ねた作品を使ってランプを作るワークショップを開催しました。(写真②、③パンフレット)

美術館ワークショップ
(写真②)
美術館ワークショップ
(写真③)

あらかじめ作ってある木版を多色刷りして、ランプシェードにするものです。とても複雑な手順なので時間もかかり、その分創作の時間が少なくなったのが残念だったですが、3年生8名の説明や事前の準備、また息もぴったりで気持ちの良いワークショップになりました。
3年生はこの経験を生かして9月から教育実習をしますが、学校教材の場合は、ワークショップの題材と違い、受講者が自らの独創での制作活動を多く入れなくてはいけません。またその時にすぐできてしまうのではなく、悩んだり葛藤したりする中で自分なりの造形物となるような活動を保証する指導が必要になります。そうした美術活動の本質を取りこんだ題材、授業案を創ることが教育実習では必要になってきます。

3.教育実習 (8月28日〜9月30日)

3年生の教育実習Ⅳが附属中学校で行われました。
8人の学生が4人ずつ1年生と3年生の担当になって授業題材を考え、1か月間の実習に取り組みました。
1年生は「抽象作品を作ろう−オノマトペをいかして−」。

ニョキニョキやビヨーンなどのオノマトペから連想されるかたちを土粘土で抽象作品として表現する制作です。抽象は中学生にとって難しい題材ですが、擬音のイメージをもとにすることで、形を立体的な抽象として表わすことにうまく結びつけました。制作の要点として①ボリュームを持つこと②動きを作ること③バランスを見ることの3点を説明して、純粋形態としての抽象に生徒の感覚が向かうように指導しました。充実した実践で面白い作品が生まれたと思います。(写真④⑤⑥)

教育実習(中学1年生)
(写真④)


教育実習(中学1年生)
(写真⑤)
教育実習(中学1年生)
(写真⑥)

3年生は「針金で創ろう立体アート」。こちらも立体の抽象作品制作です。針金という線材を直線、曲線などいろいろな形に変形することで、動きを持った抽象作品制作を行いました。こちらは、制作の要点を①線の動きで空間を作る②線のつながりで面を感じる③全体のバランスを作る、の3点として、やはり感覚的な抽象制作への目を生徒に持たせるようにしました。(写真⑦⑧⑨)

教育実習(中学3年生)
(写真⑦)


教育実習(中学3年生)
(写真⑧)
教育実習(中学3年生)
(写真⑨)

今回、1,3年とも題材が抽象の立体作品制作となりましたが、両学年とも立体としての造形要素とをきちんと取り入れ、既成概念でできる説明的、観念的な形にしないで、形そのものの面白さ、美しさを創造し感じるよう指導できたことが成果だと思います。

4.島根大学公開講座 −シルクスクリーンでオリジナルプリントを作ろう−
(10月30日〜11月13日)

毎年秋恒例の島根大学生涯学習講座、今年は「版画講座」−シルクスクリーンでオリジナルプリントを作ろう−と題して3週に渡って実施しました。

この講座、はじめのころは油彩画をやっていましたが、最近は版画講座シリーズで、一昨年の木版リトグラフ、昨年の厚紙版ドライポイントでした。今年はシルクスクリーン。
自分だけのオリジナルマークをデザインして、それをシルクスクリーンのカッティング法で製版します。できたら皆でTシャツやハンカチ等の布にプリント。
最後はみんなで寄せプリントをしました。(写真⑩⑪⑫⑬)

このシルクスクリーンのカッティング法は、制作手順が変化に富んで面白く、しかも初心者でもそれぞれ自分の構想に合わせて皆うまく作れるので、楽しくそして達成感のある制作になります。

版画講座
(写真⑩)
版画講座
(写真⑪)
版画講座
(写真⑫)
版画講座
(写真⑬)

5.「教員養成モデルカリキュラムの試行的実践と改善 第2回シンポジウム」
(於:鳴門教育大学)に討論会評価者として参加しました。

2014年12月3日、鳴門教育大学にて「教員養成モデルカリキュラムの試行的実践と改善 第2回シンポジウム 『学生に教科の本質をどう伝えるか −中学校教員養成における教科専門科目のあり方−』」(写真⑭)が開催されました。

鳴門教育大学シンポジウム
(写真⑭)

このシンポジウムでは鳴門教育大学が長年取り組んでいる、教員養成教育のためのカリキュラムや教科内容授業研究の成果の発表と、またそれに対して協議が行われました。
今回、そのシンポジウムでのテーマとして「中学校教員養成における教科専門科目のあり方」に関する発表と討論会が行われ、私はそれを受けて最終評価をしました。
教員養成大学・学部の教科専門教員の行うべき授業については、2004年の在り方懇の答申以来、教科内容学研究という形で研究が重ねられてきました。現在鳴門教育大学を中心にそのテキスト化が進められていますが、今回のシンポジウムは、教科専門教員の授業内容を、教員の実際の発表をもとにしてもう一度検証しようとしたものです。
私は何人かの教科専門教員の授業実践報告と討議の後で、現在の教科専門教員の立場と課題を、○専門教育に対する教員の意識の転換、○専門内容の教育実践の立場からの再構築、○教科内容の構成原理としての学問研究のメタ化と「専門的視座」の獲得、学問史修得 などの点を中心にまとめました。(写真⑮⑯)
今や、教員養成大学・学部の教科専門教員の授業に関するこのような論議は避けては通れないものとなっています。

鳴門教育大学シンポジウム
(写真⑮)
鳴門教育大学シンポジウム
(写真⑯)

鳴門教育大学は島根からはかなり遠く6時間以上かかります。シンポジウムの翌日、島根に帰る途中、倉敷に途中下車し大原美術館に行きました。
ここに来るのはもう6回目か7回目になります。おなじみの作品と再会しました。
ゴッホからセザンヌ、ピカソ、マティス、モディリアー二、クレー・・・高校生のころ、毎晩図録や画集を喰らいつくように見ていた作品たちです。これらの作品との出会いから私は美術に夢中になり、いつの間にか絵とともに歩む人生を選んでしまうことになってしまった。近代美術との出会いは私にとって運命だと思います。
大学を出てからは、自分の絵画探求上の方向として現代における絵画の在り方を追求する中で、近代美術は超克すべき存在となりました。近代の個人主義、人道主義、造形主義を乗り越えないと今の自分の絵画を確立できないものとなりました。
それからは展覧会でもずっと現代美術を追い続け、最近では知らないアーティストの新しい作品を求めて、ガツガツと展覧会を回っていますが、その日ばかりは近代絵画を懐古しました。たまにはいいでしょう。

ところで、大原美術館の分館は日本美術の専門館で、やはり懐かしい作品がたくさんあります。その地下を行くと現代美術が展示してあり、その一番奥には、あまり知られていないけど、今をときめく作家の作品−東島毅、堂本右美、津森みゆき、会田誠・・・・−がひっそりと展示されています。いいものばかりです。ここに来るとさすがに血がさわぐ。

ということで今年も年が詰まったところで慌てて「美研のあれこれ」をまとめて書きました。
来年はきちんと報告できるようにしたいです。
よいお年を!

卒業制作展(2014.2.19-24)など

卒制展集合写真
卒制展集合写真

3月になって、三寒四温、暖かい日があったかと思うとまた寒さがぶり返して、でも少しずつ春に向かっていく気配は感じられます。
山陰は11月半ばくらいから天気が悪くなり、3月までかなり長く暗い冬を過ごさなければなりません。3月になって天気が良くなってくると、本当に日の光が眩しく感じられ、また春になる喜びも湧きあがってきます。
我島根大学美術専攻研究室では2月〜3月にかけて、卒業研究発表会(2月5日)、卒業制作展(2月19日−24日)、謝恩会、ゼミ生による追いだしコンパ(絵画ゼミの伝統で、今年は2年新ゼミ生も入れて7名ですが、皆でまずスポーツ大会−今年は総合体育館を借りてバトミントンと卓球、プリクラ、プレゼント渡し会、夜の食事会と盛りだくさんです)、追いだしコンパ(3月6日)(写真①)と順調に卒業の行事が行われ、あとは卒業式を残すばかりとなりました。

追いだしコンパ
写真①

今回は卒業制作展のレポートをします。
2月19日から24日まで島根県立美術館で恒例の島根大学教育学部美術専攻生卒業制作展が開かれました。今年の卒業生は9名。絵画専攻2名。デザイン2名。彫刻3名。工芸1名、美術教育1名。
2年次末のゼミ決定以来約2年に渡っての卒業研究でしたが、昨年10月の中間発表会、卒業研究発表会(今年度から、全国の国立大学法人教育学部には「教職実践演習」という科目が新設されて、私たちの専攻では卒業研究と関わりを持った授業実践研究−授業案の作成など−をその科目としてゼミ単位で学修し、その発表も合わせて行われました)などを経て、その成果を美術館で発表しました。
会場の様子はこんな感じです。(写真②−⑪)

絵画専攻Sさんの作品

絵画専攻Sさんの作品
写真②

Sさんは自分自身の日常のいろいろな様態をモチーフとして作品化しました。この作品がいわゆる自画像と違うのは、自分を自分として見るのではなく、他人のように、あるいはモノのように、突き離した視点で見ることを自分に課していることです。か細く弱い自分をわざと暴き立て、さらけだすことでその潔さが却って強さとして見る人の視線を跳ね返しています。

絵画専攻のTさんの作品

絵画専攻のTさんの作品
写真③

Tさんは同じ人物画でも絵画としての形式と造形的な内容を追っています。この色面による平面的な分割は、絵画史では良く知られているように、近代の絵画の純粋化、還元化の流れを汲んでいます。絵画の特質にどれだけ立ち向かい、その中で現代に生きる画面に仕立てられるか問題になりますが、まだまだ消化できていない面もあります。色面とは相容れない線を使うことで画面の変化と作品の特色を出していますが、まだ試行錯誤、勉強の段階にとどまっているようです。彼女は大学院に進学するので今後の展開に期待しましょう。

以下、デザイン、彫刻、工芸、美術教育の専攻生の作品とギャラリートークの様子です。

デザイン専攻生の作品
写真④デザイン専攻生
デザイン専攻生の作品
写真⑤デザイン専攻生
彫刻専攻生の作品
写真⑥彫刻専攻生


彫刻専攻生の作品
写真⑦彫刻専攻生
彫刻専攻生の作品
写真⑧彫刻専攻生
工芸専攻生の作品
写真⑨工芸専攻生


美術教育専攻生
写真⑩美術教育専攻生
ギャラリートーク風景
写真⑪ギャラリートーク風景

 

島根大学生涯学習講座「版画講座」

-ドライポイントプレートで凹凸版刷りを楽しもう- (10月24日-11月21日)

毎年秋恒例の島根大学生涯学習講座、今年は「版画講座」-ドライポイントプレートで凹凸版刷りを楽しもう−と題して5週に渡って実施しました。

基本的にはドライポイントですが、版に厚紙を使いニードルやビュラン、ルーレット等の道具で線描する(いわゆるドライポイント版画)の他に、紙や布などのコラージュを施して様々な表現効果が楽しめます。また厚紙なので紙の一部を剥いだり、ベルソーやルーレットなどの版画道具で効果的な模様をつけることもできます。
またこの版画の楽しみは、1つの版で凸版刷り、凹版刷り、凹凸版刷りの3種類の印刷ができることで、それぞれ違った表情の作品が楽しめる版画です。
たくさんの作品ができました。最後はできた作品を飾って発表会をしました。

版画講座
版画講座
版画講座
版画講座
版画講座
作品発表会

美研のあれこれ⑩

1.オープンキャンパス(8月9日)

島根県立美術館庭の渡辺豊重の作品
島根県立美術館庭 宍道湖沿いの渡辺豊重の作品

島根大学教育学部は8月9日(金)にオープンキャンパスを開催しました。
午前中の全体説明に続いて午後は各専攻で個別入学体験が開かれました。
「美術専攻」では以下のような内容で実施しました。

専攻・コース入学体験 「ようこそアートの世界へ」

① 美術専攻4年間の学びについて

美術の各分野の紹介のほか、パワーポイントでカリキュラムの特徴・学生生活・実習や専攻別体験などを説明しました。

②推薦・前期入試について

推薦入試の内容と前期入試について説明し質問を受けつけました。

③絵画室などの施設と学生作品見学(写真①)

学生が絵画室、彫刻室、デザイン室などの施設とそこに展示した授業作品を紹介し、授業の内容などを説明しました。

④在学生との交流会(写真②)

在校生15名ほどが絵画室で参加生徒と交流を持ちました。授業のこと、課題のこと、学生生活のことなど和気あいあいと話をしました。

⑤「持参作品の講評」

参加者が持参したデッサン、水彩画、油彩画、彫刻・工芸作品、ポスターなどのデザイン作品等を専攻の教員が講評・アドバイスをしました。

絵画室などの施設と学生作品見学
(写真①)
在学生との交流会
(写真②)

私たち教員は特に⑤の「持参作品の講評」に力を入れています。たくさんの高校生の作品を見、またそれを通して高校生や先生方との交流を深められたら幸いです。また③の学生による施設や授業作品の解説も好評です。学生自身の口から大学生活について直接話を聞けるので、参考になりまた親近感がわくようです。

島根大学教育学部美術専攻について興味のある方、質問等のある方は新井までメール(arai@edu.shimane-u.ac.jp)にてご相談ください。
なお美術専攻のデジタルパンフレット2013年版が、島根大学教育学部ホームページの以下のサイトでご覧になれます。
URL http://www.edu.shimane-u.ac.jp/ より「専攻分野」→「美術教育」→「美術教育専攻パンフレット2013年度版はこちら」、
また、私たち教員スタッフについては同じく島根大学教育学部ホームページ「教育研究スタッフ」→「美術教育」でご覧になれます。

2.美術館ワークショップ(8月10日〜13日)

今年も島根県立美術館で子ども向けのワークショップを開催しました(写真③)。
これは3年生の専攻別体験学修の一環で、前期の「造形授業構成研究」授業の中で企画、題材設定、演習等をし、夏休みに美術館で実習を兼ねてワークショップを開くものです。
このワークショップで学生は美術題材の設定から実際の説明・指導ばかりでなく、様々な参加者との対応までを体験し、すぐ後期に控えている教育実習への基礎を築くものとなります。
今年は8月10日から13日の4日間、同時期に企画展として開催されている、「佐伯祐三」展とリンクして、佐伯の描いたようなパリの街の家々を立体的に制作するワークショップ「佐伯の絵から飛び出した[立体で作る]パリの街」(写真④パンフレット)を開催しました。

美術館ワークショップ
(写真③)


ワークショップパンフレット
(写真④)

制作手順は複雑で、まずいろいろな形の角材にコルクシートで窓等の凸凹を作り、そこにパテを塗り壁を作ります(写真⑤)。着彩をした後、ポスターや新聞の写真などを貼り、壁の装飾をします(写真⑥)。最後に建物の汚れた雰囲気を、絵具に漬けることで出し完成(写真⑦)。とても複雑な手順なので時間もかかり、その分創作の時間が少なくなったのが残念だったですが、3年生7名の説明や事前の準備、また息もぴったりで気持ちの良いワークショップになりました。

美術館ワークショップ
(写真⑤)


美術館ワークショップ
(写真⑥)
美術館ワークショップ
(写真⑦)

3年生はこれから教育実習に向かいますが、学校教材の場合は、ワークショップの題材と違い、受講者が自らの独創で形作る活動を多く入れなくてはいけません。またその時にすぐできてしまうのではなく、悩んだり葛藤したりする中で自分なりの造形物となるような活動を保証する指導が必要になります。そうした美術活動の本質を取りこんだ題材、授業案を創り上げて欲しいものです。

3.教員免許状更新講習(8月19日)

さる8月19日に教員免許状更新講習を開きました。5年前から実施されているものですが、私が担当するのは3回目です。
講習は「絵画素材による授業題材研究」と題して、おもに、近現代の絵画・造形思想から生まれた技法や形式の中のいくつかから授業題材との関連を探り、その研究をもとに参考作品となりえるような専門内容と題材の本質を伴った作品演習制作をするという内容です。
美術の先生方のための研修講座なので、美術の授業題材の理解を目的としたものですが、それとともに、あまり堅苦しくならず、制作者としてその場の制作を楽しんでもらうような気持ちで行いました。
具体的には「近現代の絵画・造形思想から生まれた技法や形式」としてコラージュ・マティエール技法を題材として講義と演習制作をしました(写真⑧⑨)。
お疲れ様でした。

教員免許状更新講習
(写真⑧)
教員免許状更新講習
(写真⑨)

美研のあれこれ⑨

卒制展集合写真
卒制展集合写真

学年末になり、今年も卒業関係の行事が次々と行われました。いくつか紹介します。

○卒業研究発表会(2月6日)

4年生が、2年間かけて作り上げてきた卒業制作作品を、美術研究室の皆の前で発表しました。絵画ゼミは2人。Fさんは「孤独」という感情を、茫漠とした空間と象徴的もの(動物・植物等)の組み合わせで表現しました(写真①)。ただ自分がある感情を表現したいと考えても、それが鑑賞者に真実感を伴って伝わるかは、なかなか意図的にできるものではありません。Fさんは青を基調とした美しい空間を作り上げましたが、理念や狙いは良くわかるのですが、その表現が説明的で空間からの直接的、感覚的な伝わり方はもう一歩弱かったと思います。

Kさんは布類のしわを大きく描きだしました。Fさんとは逆に主体としての自分の感情を殺し、冷静に「しわ」という現象を見つめることに終始しました。偶然と必然を兼ね備えた「しわ」の表情は、Kさんの卓越した描写力で、日常としてあるものが異様な迫力と不思議さを持って表現されたと思います(写真②)。

卒業研究発表会
写真①
卒業研究発表会
写真②


○シンポジウム「教員養成カリキュラムの発展的研究」発表(2月11日)

2月11日に、鳴門教育大学主催で「教員養成カリキュラムの発展的研究」第1回シンポジウム−教科内容学の成果を教員養成にどう反映すべきか!−が大阪で開かれました。私は「教員養成カリキュラムの実践報告・提案」として島根大学教育学部で実施されている「教科内容構成研究」について報告しました。(写真③)

シンポジウム「教員養成カリキュラムの発展的研究」発表
写真③

今、教員養成学部では教職大学院や教員養成6年制問題等の中、小学校教員養成化傾向があります。その中で私たち教科専門教員は自分達のアイデンティティをどこに求めていくかが問題になっていると思います。アカデミックな専門授業だけで済むわけではないことはもちろんですが、教科内容との関係の中でなおかつ本当の(人間教育としての)専門教育の必要性を感じさせる授業が求められるのではないかといつも思います。

○ゼミ追いコン(3月2日)

3月2日には絵画ゼミでの追いコンがありました。ゼミで追いコンをするようになって数年経ちますが、最初にやったスタイルが踏襲されていて、まずはスポーツ大会。今回はスケート(写真④)。その後プリクラを撮ったり豚シャブ屋さんで宴会など(写真⑤)。卒業のプレゼントなどが贈られて盛り上がりました。

ゼミ追いコン
写真④
ゼミ追いコン
写真⑤


○追いコン(3月11日)

今年の追いコンはSalon de HATTORIで。2年生がいろいろな出し物を企画してくれました。「この人は誰でしょうクイズ(子供の頃の写真から誰だか当てる)」とか「美研紹介ドラマ」とか、卒業生1人1人の個性に合わせて贈るプレゼントとか。会は明るく楽しく過ぎて行きました。逆に最近追いコンで泣く卒業生が減ったのはちょっとさびしい。(写真⑥、写真⑦)

追いコン
写真⑥
追いコン
写真⑦


○卒制展(2月20日−2月26日)

2月20日から島根県立美術館で恒例の島根大学教育学部美術専攻生卒業制作展が開かれました。今年の卒業生は6名。絵画専攻2名。デザイン2名。彫刻1名。美術教育1名。
2年次末のゼミ決定以来約2年に渡っての卒業研究でしたが、昨年10月の中間発表会、上に書いた卒業研究発表会などを経て、その成果を美術館で発表しました。

会場の様子はこんな感じです。(写真⑧)

卒制展
写真⑧

絵画専攻生の作品(写真⑨、写真⑩)

絵画専攻生の作品
写真⑨
絵画専攻生の作品
写真⑩


デザイン専攻生の作品。(写真⑪、写真⑫)

デザイン専攻生の作品
写真⑪
デザイン専攻生の作品
写真⑫


彫刻専攻生の作品。(写真⑬)

彫刻専攻生の作品
写真⑬

美術教育専攻生は論文のパネル展示をしました。(写真⑭)

美術教育専攻生のパネル展示
写真⑭

また美術教育研究発表のスペースでは、3年夏に島根県立美術館で行ったWSや教育実習の成果、また「美術科教育研究」の実践報告など、美術専攻で学修したことがパネル展示されていました。(写真⑮)

美術専攻のパネル展示
写真⑮

日曜日にはギャラリートークも行われました。(写真⑯)

ギャラリートーク
写真⑯

○3年生グループ展「たんぽぽ」(2月28日〜3月4日)

どういうわけか5年ほど前から、3年生がこの時期に自主的にグループ展をするようになっています(展示風景写真⑰⑱⑲)。3年次は美術館ワークショップ、教育実習Ⅲ、Ⅳ、Ⅴなど教育臨床活動で大変忙しく、専門研究(制作)をする時間がなかなか取れないのが実情です。それらの実習がひと段落する1月頃から卒業制作に向けて本格的に研究を開始しますが、そのきっかけとして3年生自らが展覧会を企画するようになりました。
この時期ではまだコンセプトもスタイルも固まっておらず、展示するのはいささか厳しい点もあるので教員としてはヒヤヒヤ者ですが、それでも今年に入ってからのゼミで、制作や作品を展示することへの姿勢や意味などについてはやってきて、この展覧会に臨んだつもりです。卒制への勉強の段階として必死な学生の姿を感じていただけたら幸いです。

3年生グループ展
写真⑰


3年生グループ展
写真⑱
3年生グループ展
写真⑲


○卒業式(3月22日)

今年の卒後生は行く先は教員4名、民間1名、大学院進学1名でした。卒業式はいつも感慨深いものですが、今年の卒業生の学年はいつも真面目で仲が良く、美術的な能力もかなりあってまたやるべきことをきちんとやる信頼のおける学年でした。4年間それぞれ成長して羽ばたいていく姿はまぶしいばかりです。この大学での経験、特に卒業研究等で培った自分というものの確立をもとに、新しい場所でいろいろなことに挑戦し自分の人生を切り開いていってもらいたいものです。(写真⑳)

卒業式
写真⑳

美研のあれこれ⑧ + 展覧会巡り などなど

埼玉県立近代美術館
埼玉県立近代美術館

1.大学美術教育学会大分大会

10月20日(日)、大分での第51回大学美術教育学会大分大会で口頭発表をしました。タイトルは「『平面授業構成研究』について −島根大学教育学部における『教科内容構成研究』の取り組みをもとに−」。私自身が行っている「平面授業構成研究」という授業の教科内容学的内容について、教科内容学の歴史や概念を下敷きに、また島根大学教育学部独自のカリキュラムである「教科内容構成研究」授業の特徴を踏まえたうえで、紹介、発表しました。

ここ3年間、自分なりに研究してきたことをまとめたものです。大学美術教育学会での発表は初めてだったのでよい経験になりました。(写真①)

大学美術教育学会大分大会
写真①

2.別府現代芸術フェスティバル2012「混浴温泉世界」

大分での学会口頭発表を終えたのち、別府で開催中の「別府現代芸術フェスティバル2012『混浴温泉世界』」を鑑賞してきました。このフェスティバルは大分に行くまでは知らないものだったのですが、こんな温泉町でこんなにしっかりした現代美術のフェスティバルが開かれているとは驚きでした。

別府の各地で8つのプロジェクトが組織されていましたが、そのいくつかを紹介します。

PROJECT5 アン・ヴェロニカ・ヤンセンズ(写真②)

百貨店のワンフロアーの真っ暗な空きスペースを霧で満たし、そこにプロジェクターで光をあてています。どこか知覚に深く響く不思議な空間になっています。

PROJECT3 シルバ・ブグタ (写真③)

商店街のビルの地下。暗いスペースに真っ黒なぼこぼこに見える塊が壁にかけられていて、何か音が聞こえます。この塊に見えるものは何千本というマイク。そこから詩的な言葉が発せられています。この辺りのバーで以前繰り返し語られた会話をイメージしたものだそうです。

PROJECT7 小沢剛(写真④)

別府の町の中心にある別府タワーには、「アサヒビール」という文字がネオンサインとして輝いていますが、その「アサヒビール」という6文字のどれかを組み合わせてできる言葉を書き並べています。一見意味がなさそうですが、別府に集まる約50カ国の人たちの誰かが使う意味ある言語となっています。

PROJECT6  クリスチャン・マークレー (写真⑤)

別府湾に突き出した突堤に何十もの旗が並べられています、そこにはどれも音色の違う鈴が付けられていて、中を通ると何とも言えない気持のよい音に包まれます。マークレーは昨年のヴェネチアビエンナーレで金獅子賞を受賞した作家です。
それぞれの作品のコンセプトがしっかりしていて、見ていて納得のいくものばかりでした。まるで私への学会の発表のご褒美のようなひとときでした。

アン・ヴェロニカ・ヤンセンズの作品
写真②
シルバ・ブグタの作品
写真③
小沢剛の作品
写真④
クリスチャン・マークレーの作品
写真⑤

3.島根大学生涯学習講座「版画講座」 −木版リトグラフを楽しもう−

毎年秋恒例の島根大学生涯学習講座、今年は「版画講座」−木版リトグラフを楽しもう−と題して、木の版でリトグラフ版画を4週に渡って実施しました。

プライウッドグラフというベニヤ板と、油性のソリッドマーカーを使って(写真⑥)リトグラフ版画を制作するものです。従来のリトグラフ版画を、合板を使うことによって制作工程を比較的簡単にし、また銅版用のプレス機で印刷することができるようにしています。リト特有の多くの薬剤は使わず、また製版インク盛りも省略し、手軽に制作できます。また水彩絵の具で色をおいて楽しむこともできます(写真⑦)(写真⑧)。

最後に刷った作品を並べて発表会(写真⑨)。
これまでこの講座では、油彩、厚紙版ドライポイント、この木版リトグラフとやってきて、さて来年は何にしようか今から考えています。シルクスクリーンをまだやってなかった。

木版リトグラフ1
写真⑥


木版リトグラフ2
写真⑦
木版リトグラフ3
写真⑧


木版リトグラフ発表会
写真⑨

4.東京・埼玉美術館巡り

今年の「CAF.N展」に合わせて東京・埼玉の美術館を回ってきました。

[CAF.N展]の様子については[exhibition]欄、作品については欄を更新しましたので、そちらをご覧ください。今回の作品は、昨年のカラコロ工房個展以来試みている、半透明なビニールを重ねて作ったものを天井から吊るすインスタレーションでした。両側から見られ、それぞれが違った様相をしています。回りを巡って見るとともに、作品を包む空間全体が問題になるものです。しかしながら今回の展示ではそれを考慮してもらえませんでした。通路のような半端な場所に、壁に近付けて掛けられているので、全く作品の意図したところが表現されず散々なものでした。改めてインスタレーションの展示の難しさを感じました。だけど自分で展示しないで他人任せではやっぱりダメですね。展示係の方は会場全体のことを考えてやっているわけなので。今まで平面の作品だったので送ったきりでもなんとか済んでいましたが、インスタレーションはやはり自分で設置しないと。

それはともかく在京時にできる限り美術館を回りました。見た展覧会は「HOME AGAIN」原美術館、「気ままにアートめぐり」ブリヂストン美術館、「始発電車を待ちながら」東京ステーションギャラリー、「日本の70年代1968-1982」埼玉県立近代美術館、「田中一光とデザインの前後左右」21_21デザインサイト、「アートと音楽」「風が吹けば桶屋が儲かる」東京都現代美術館、「さわひらきWhirl展」神奈川県民ホールギャラリー、「川俣正展」Expand BankARTの9つの企画
展。

その中で断然面白かったのは、東京ステーションギャラリーの「始発電車を待ちながら」展です。新装なった東京駅で(写真⑩東京駅丸の内北口の天井)、東京ステーションギャラリーも再開されました。その記念展で、東京駅あるいは鉄道に関連した作品が集められていますが、それが(いつかの千葉の展覧会のような)こじつけではなく、テーマに関わりつつそれぞれの作品本来の内容がしっかり語られていて、素晴らしい展示でした。ともかく見ていて楽しい。どれもが人間の奥深くにある本性をユーモアやウイット、あるいは憂愁を交えて描いていて、どれも心にしみるものでした。

東京駅丸の内北口の天井
写真⑩

特にクワクボリョウタの、暗闇の中を光をつけたプラモデルの電車が走りながら、周囲の壁に、風景に見立てたカゴや洗濯バサミなどの日用品が、その光によって大きく映っては消えるインスタレーションは最高!また、パラモデル[PARAMODEL]のプラレールのインスタレーション、大洲大作の写真作品なども秀逸でした。

次に、Expand BankARTの「川俣正」。80年代のスーパーヒーロー川俣の作品を、私はまともには今まで見ていませんでした。写真では何度も見ていて、あまりピンと来ていなかったのですが、本物を見て、その迫力にこれは見解を変えなければならないかなと思いました。ただ、(「横浜トリエンナーレ」の会場として、見に来て以来久しぶりの)BankART Studio NYK会場の一階は、写真⑪のようにかなりできていて、素晴らしかったのですが、いかんせん始まったばかりで、ほとんどの作品、例えば建物外部(写真⑫)とか二階会場(写真⑬)とかはまだ骨組みしかできてなくて残念でした。1枚のチケットで何度でも入れるということだったけど、もう行けないしなぁ。1月頃見てみたいものです。

川俣正展1階会場
写真⑪
川俣正展建物外部
写真⑫
川俣正展2階会場
写真⑬

21_21デザインサイト(写真⑭)の「田中一光とデザインの前後左右」はもう堂々たるもの。間違いない。田中一光の仕事が日本のデザイン界に与えた影響や果たした役割の大きさを肌で感じられるものでした。

21_21デザインサイト
写真⑭

現代美術館の「アートと音楽」は楽しめます。良くできていました。あとは撮れた写真だけを挙げておきます。

21_21デザインサイトの廣村正彰の「His Colors」(写真⑮)。田中一光に捧げる、色のインスタレーション。

さわひらき展(神奈川県民ホールギャラリー)のビデオ作品(写真⑯)(写真⑰)。

原美術館での「HOME AGAIN」展、エリカ・ヴェルズッティの作品(写真⑱)。同じくデュート・ハルドーノのインスタレーション(写真⑲)

廣村正彰「His Colors」
写真⑮


さわひらき展のビデオ作品
写真⑯
さわひらき展のビデオ作品
写真⑰


エリカ・ヴェルズッティの作品
写真⑱
デュート・ハルドーノのインスタレーション
写真⑲

 

 
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