2022 個人的墓碑銘
シドニー・ポワチエ(Sidney Poitier)1月7日没 94歳
黒人初のアカデミー賞主演男優賞受賞者(「野のユリ」)。中学2年の時に見た「夜の大走査線」(1967)が記憶に残っている。一場面だけだけど。中学校の頃は結構映画少年だった。「冒険者たち」(1967)のジョアンナ・シムカスと結婚していたとは知らなかった。
ボブ・サゲット(Bob Saget)1月9日没 65歳
ご存じ『フルハウス』のダニー・タナー役。90年代Eテレの放送を録画して日本語字幕、英語字幕、字幕なしで繰り返し見た。面白くて英語の勉強になる。あの頃は「ブロッサム」とか「アルフ」とか「フレンズ」とか面白いアメリカンシットコムをNHKでやっていた。今はあまりなくて残念。
ロニー・スペクター(Ronnie Spector)1月12日没 78歳
「ザ・ロネッツ」のリーダー、ボーカル。最大のヒット曲「Be My Baby」は中学の頃よく聴いた。この曲が洋楽好きになったきっかけ。
西村 賢太(にしむら けんた)2月5日没 54歳
2011年「苦役列車」で第144回芥川賞受賞。
日雇いの話。どうしようもなく自堕落な日常、面白い展開があるわけでもなく、そこからヒューマニティや概念化できる世界観も生まれない。しかし、読んでいてなんとも面白い。 この小説を面白くしているのは、自虐的ながらも飄々としたユーモアのある、この狂言回しのような文体である。現代の私小説とか言われているが、透徹したリアリズムとはあまり縁がない。太宰もびっくりの、いつまでたっても句点を打たない長々としたセンテンス。ともかく人間の尊い部分(意志とか希望とか信頼とか)を徹底的に捨て去った人間像はある種のカタルシスを生む。
西郷 輝彦(さいごう てるひこ)2月22日没 75歳
人生で初めて買ったレコードが、洋物ではモンキーズの「D.W.Washburn」、邦楽は西郷輝彦の「星のフラメンコ」(1966)だったような気がする。
稲畑 汀子(いなはた ていこ) 2月27日没 91歳
俳人高浜虚子の孫。『ホトトギス』名誉主宰。
代表句「今日何も彼もなにもかも春らしく」「初蝶を追ふまなざしに加はりぬ」など。
朝日新聞で選者をしていた朝日俳壇は毎日曜日楽しませて貰った。
原田泰治(はらだ たいじ)3月2日没 81歳
絵画を専門としてやっていると、その制度や形式上の問題が第一義的な制作課題として、長年苦しんだりしたけど、今はそれら観念的なものより個人的な感覚の場として絵画を楽しんでもいいのかなと思う。原田泰治に心を許してもいいのだろう。
中川イサト(なかがわ いさと)4月7日没 75歳
「五つの赤い風船」メンバー。フィンガーピッキンカーとして有名なギタリスト。代表曲「遠い世界に(1969)はコード進行がかなり簡単なのでよく弾いた。
上田知華(うえだ ちか)2021年9月17日没(2022年4月朝日新聞記事)64歳
「上田知華+KARYOBIN」のボーカル。ヒット曲は「パープル・モンスーン」(1980)。地味なバンドだったけど好きだったなあ。作曲家としては今井美樹の「PRIDE PIECE OF MY WISH」 が有名。
山本コウタロー(やまもと こうたろう)7月4日没 73歳
「山本コウタローとウィークエンド」の「岬めぐり」(1974年)。70年代にTBSラジオパックイン・ミュージックのパーソナリティをやっていてよく聴いた。ちょうど青春時代。
クレス・オルデンバーグ(Claes Oldenburg)7月18日没 93歳
日常のありふれた物を超巨大化したパブリックアート・インスタレーションやソフト・スカルプチャで知られる。典型的なポップアーティスト。修論のテーマの一つががネオ・ダダやポップアートのもつ意義についてだったので馴染み深い。
佐藤陽子(さとう ようこ)7月19日没 72歳
バイオリニストだけど、池田満寿夫の四人目のパートナーとして記憶している。池田満寿夫の文章が好きで、自伝や評伝は何冊も読んでいる。池田の波乱に富んだ生涯の中で、70年代末日本に帰り佐藤と一緒に熱海に住んだ晩年が、比較的平穏で平和だったことが印象に残っている。
岡崎和郎(おかざき かずお)7月21日没 92歳
彫刻家。代表作の金属彫刻「HISASHI」は岡山県の奈義町現代美術館の永久展示3点の一つ。良く学生を連れて見に行った。
島田陽子(しまだ ようこ)7月25日没 69歳
1974年の「砂の器」を、それこそ「授業を抜け出して」見に行った。松本に向かう中央線の車窓から、高木理恵子(島田陽子)が刻んだ白い布(血痕がついた和賀英良のシャツの切れ端)をばらまく場面は鮮烈だった。
オリビア・ニュートン=ジョン
(Olivia Newton-John)8月8日没 73歳
「そよ風の誘惑」「フォロー・ミー」「ジョリーン」「マジック」「ザナドゥ」「フィジカル」など数多くのヒット曲がある。それらも良かったけど、なんと言っても1978年、ジョン・トラボルタと共演したミュージカル映画『グリース』の高校生サンディのチャーミングだったこと!
ミハイル・セルゲーエヴィチ・ゴルバチョフ
(Mikhail Sergeevich Gorbachev)8月30日没 91歳
ソビエト連邦の最後の大統領。ソ連民主化を目指しペレストロイカ、グラスノスチなどの政策を次々と実行。あの頃(1980年代末)本当にソ連が民主化し東西冷戦が終わるんじゃないかと思った。しかし、1991年のクーデターで失脚し、ソ連が崩壊しエリツィンにその座を奪われてからは、その反動でロシアはより帝国主義的になってしまった。夢のような時代だった。
おおたか静流(おおたか しずる)9月5日 69歳
歌手。一昨年、彫刻家安藤栄作さんとのコラボパフォーマンスで出雲に来たときに拝見して、また津山のギャラリー「Nishiima25」の安藤展でもお会いした。まさかこんなに早く亡くなるとは。そういえば同じ頃、現代美術家の山本裕子さんも同じようなお年で亡くなっている。素晴らしい作品を遺した。
仲本工事(なかもと こうじ)10月19日 81歳
お馴染みザ・ドリフターズのメンバー。いかりや長介、荒井注、志村けんに次いで亡くなってしまった。大学生の頃、近くの文京公会堂で「8時だよ!全員集合」をやっていて、共演のザ・キャンデーズのミニスカートを見るために、(友達が)何度も通っていた。
ピエール・スーラージュ(Pierre Soulages)10月26日没 102歳
1950年代のアンフォルメルの画家。高校生の頃、父の美術手帖でこのあたりの抽象作家を知り、一時期夢中になった。スーラージュは2000年代まで良い作品(より硬質な)を作り続けたので、その後も美術館等でよく見た。
矢吹 申彦(やぶき のぶひこ)10月28日没 78歳
イラストレーター。60年代を代表するナイーブ・プリミティブ派のイラストが魅力的だった。音楽雑誌との関わりが深かった。特にベニヤ板の溝をわざと残しながら描いたイラストにはアメリカ文化への憧れや郷愁をそそられた。
白木 みのる(しらき みのる)2020年12月16日没(11月13日記事)86歳
小学生の頃、日曜日の夕方必ず見ていた「てなもんや三度笠」。その坊主「珍念」役。藤田まこと演じるあんかけの時次郎が決まって言う台詞「俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー!」。こんな昔のことをなんで覚えているのだろう。