はじめに/作家からのメッセージ
新井知生のウェブギャラリーへようこそ。
私は自身の絵画制作と大学(島根大学教育学部)で絵画の講義や実習授業をしているものです。
このHPは[gallery] [exhibition] [monograph] [essay] [topics] [profile] [links] の7つの部屋で構成されていて、私の作品と制作活動を中心にして、その他、芸術に対する思索や意見、大学での仕事、社会的活動、日々の様子など、私の活動がほぼ網羅されています。
[gallery]では30年にわたる制作の軌跡を作品でたどっています。全体を作品スタイルの変化に基づいて、7つのブロックに分けてあります。各ブロックの[CUBIC STUFF] 、[STILL LIFE]や[Neutral Space]などのシリーズ名は、それぞれ作品タイトルとなったものです。
私は30年の制作の中で、ほぼ数年ごとに、コンセプトの変化とともに作品スタイルを変化させてきました。実際に[gallery]に入って見ていただくのが一番ですが、簡単にその展開について記しておきます。
1980年代には、当時の美術—ポップアート、コンセプチュアルアート—の影響を受け、私的な情感を排し、無表情な画面の中にノンセンスなユーモアやアイロニーを織り込むような絵画を探究していました。[CUBIC STUFF]〜[STUFF]
この間、ずっと「絵画」に対して懐疑的な態度で接してきましたが、そのような頑なな思いが少しずつ和らぎ、絵画というものを少しは信じてもよいのではないかと思うようになってきました。
1995年以降は、絵画空間を「無限の時間と空間がともに降り立つ磁場」とするような豊かな場に成り得るのではないかと考え、制作の過程における「行為の跡」—多くの場合、削ったり拭き取ったりすることにより定着した触覚的な跡—を作者の「生きた時間と場」として直接鑑賞者に提示し、制作者と鑑賞者の一体感を促すような絵画の有り様を求めてきました。[PRINTED FIELD]〜[FIELD]
近年では[Neutral Space]と題して、作家である自分と、外界(自然)とのどちらでもない中間の領域〈間—あわい=Neutral Space〉が作品として現れるような状態を目指して作品を創っています。
結局、この30年は自分という自我を持った人間が自己を実現しようとする意欲と、そしてその肥大化した自我のため乖離してしまった自然・世界との新たなる親和と融合を求めて、自分の生きる態度を模索しながら制作してきたということかもしれません。
[exhibition]では10数回の個展と、いくつかのグループ展の展示風景をUPしています。グループ展は多数経験していますが、まだまだUPしきれていません。残念ながら記録が残っておらず、UPできない展覧会もあります。これからの展覧会はひとつひとつUPしていきたいと思っています。
[monograph] [essay]は論文やエッセイなどの文章を通して私の考えを伝えるものです。私は現在、7本の論文を発表していますが、それはどれも自分の制作に関わるもので、@自分の作品スタイルの創出をコンセプトと技法との関連で説明したものと、A現代美術の解釈に関わるものの2種類に分けられます。これもまだすべてはUPされていないので、少しずつ進めていくつもりです。
[topics]はブログで、私の活動や大学の行事など、日々の美術に関する話題を写真とともに紹介しています。全体は堅い感じのHPですがここだけは割と気ままに書いています。
私はこのHPを通じて、自分の制作や考えを客観的また総体として見られるようにし、自らの反省や今後の展開の糧にしたいと考えています。また[topics]などの話題を通じ、このHPを見てくれる方との交流が果たせたら幸せと考えています。
どうぞお気軽にお立ち寄り、ご意見・ご感想を聞かせてください。
2009年8月 新井知生