皆川明展「ミナペルホネン つづく」兵庫県立美術館 2020.11.1

難しいコンセプトや斬新なスタイルがあるわけではない。しかしなぜか心に沁みる。古くて新しい。新鮮で滋味深い。自由で開かれている。だから心に風が吹くような晴れやかな気分になる。
皆川のコンセプトは「長年着用できる普遍的な価値を持つ『特別な日常服』」だそうで、だからある種の凡庸さの中に、それを着る人だけが特別感を感じられる服になっているのだろうか。
「ずっとあなたの人生に寄り添いますよ」と言ってくれているような気がする服たち。
田根剛による展示構成も素晴らしく、気持ちの良い展覧会だった。

皆川明展
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安藤榮作展「天の所有物」ギャラリーNishiIma25
2020.10.18 岡山県津山市

10月18日、秋晴れの日に岡山県津山市で開催中の安藤榮作展「天の所有物」を見に行ってきました。会場は古民家を改装したギャラリーNishiIma25と元米倉だった倉庫で、その2会場に30数点の作品が展示されています。
数も多く内容も多彩な展覧会で、安藤さんの代表作である大作の「鳳凰」、「天と地の和解」、「光のさなぎ」、「2千体の人型」の他に、いくつかのシリーズ-「ゴロッとした塊」シリーズ(私が勝手に呼んでいるだけです)。ただそこにあるだけで存在の価値を持つ、抽象という理解が始まる前からあるような彫刻。その逆の「空気の狭間」シリーズ-外界の空気の圧によってできあがった板状の存在(これは安藤さん自身がそう呼んでいます)。こどもの造形のような動物シリーズ、直角に曲がる人型シリーズなどが築200年の旧家にインスタレーション展示されています。
荘厳さとユーモアが同居し、抽象と具象などといった境を軽々と飛び越え、思いもよらぬところから生み出される自由自在さが安藤彫刻の魅力の一つだろう。この自由さは安藤さんの人間や宇宙に対する理解の深さによるものであろうが、それとともに彫刻に対する理解でもあると思う。
安藤さんの作品は斧1本だけで削る、ある意味単調な制作によって作られる木彫ですが、できた作品はものすごく豊かで人間の根源的存在性を感じさせます。それは彫刻という伝統的で厳密な形式の価値ややっかいさの諸々を深く受け止めて初めて、この自由で柔軟な表現ができるのだと思う。
彫刻であるべき必然性、つまり彫刻の芸術的可能性に対する深い洞察と理解なくしては出現し得ない作品だと感じました。

安藤榮作展
安藤榮作展
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