民族学博物館など (2021.11.8)新着

11月上旬の穏やかな日、用事と観光を兼ねて車でちょっと遠出をしてきました。
国立国際美術館がこちらにあったときにはよく来ていた大阪万博公園。民族学博物館も久しぶりでした。膨大な展示資料。形体的な面白さにももちろん惹かれるけど、その中に長い人類の歴史と広がりがあるので、単なる日常品がどれも貴重で確かなものに思える。世界の各地域を見回った後、最後に日本の展示がありますが、自分がこうだと思っている日本(他の国と比べて割とさらっと静かとか)の感じではなくて、どこかおどろおどろしい異国的な呪術感を覚えた。あれはなんだろう。

民族学博物館
民族学博物館

六甲山にある「風の教会」に行ってみました。安藤忠雄の初期作品です。今だけ六甲ミーツアート関連で内部公開しています。天井に束芋のアニメーション作品が映し出されていました。冷たいコンクリートの壁に内蔵的な生き物がうごめいていて、教会的な清廉さと人間の本性っぽい対比がとても良かった。

六甲山
風の教会

それから神戸ゆかりの美術館まで足を伸ばして「ミロコマチコ」展。こういう時期(と言ってもコロナも長いですが)には、あまり観念的な難しいものより、体感的に直接受け取るようなものが観たくて。画像等では観ていたけど、本物はより体の隅々まで入ってくる感じで良かった。最近の作品は動物でも人間でもない、不思議な形(精霊のようなもの)を描くようになっている。

「ミロコマチコ」展
「ミロコマチコ」展

安西水丸展 世田谷文学館 (2021.8.18)

いつもは一応美術家として展覧会を見ますが、これだけはほとんどファン心理です。ただただ見たい。
ペンの細いスミ線と明快な色面(パントーン)のスタイル、その後の下手っぴ風な色鉛筆の直描きイラスト、村上春樹や嵐山光三郎らとの交友、俳句、お酒や旅などのエッセイ、どれも好きですが一番好きなのは小説です。
「手のひらのトークン」などの淡々としたニューヨークものもいいですが、「アマリリス」などちょっと隠微な恋愛ものも結構あって密かに好きです。
多才多趣味で余裕があり、優雅に人生を楽しむ人という感じですが、ある意味孤高の人ではなかったか。「孤愁」といった雰囲気を感じるのです。
展覧会会場は広くはないですが、資料の多さと工夫された展示構成、アットホームな雰囲気でとても楽しめる展覧会です。
安西水丸展会期 2021.4.24-9.20

安西水丸展
安西水丸展
安西水丸展
安西水丸展
安西水丸展
安西水丸展
安西水丸展
安西水丸展

島根大学教育学部美術教育専攻卒業制作展 2021.3.3-3.8
島根県立美術館ギャラリー1室

私が昨年3月まで教えていた学生の卒業制作展がありました。

ここ20年ほどの間、教育学部の教員養成課程一本化、教員採用との需給関係是正などから、何回かの学部改組とそのたびの定員削減があり、今年の卒業生はたったの4人。
それぞれ絵画、彫刻、デザイン、美術教育の各ゼミでの卒業制作・論文発表でした。昨年は自習やゼミもあまり行われず大変だったと思いますが、よくここまで辿り着いたと思います。
この4月からは4人とも各出身地の中学校教員として出発します。

島根大学卒業制作展
島根大学卒業制作展
島根大学卒業制作展
島根大学卒業制作展
島根大学卒業制作展
島根大学卒業制作展
島根大学卒業制作展
島根大学卒業制作展

皆川明展「ミナペルホネン つづく」兵庫県立美術館 2020.11.1

難しいコンセプトや斬新なスタイルがあるわけではない。しかしなぜか心に沁みる。古くて新しい。新鮮で滋味深い。自由で開かれている。だから心に風が吹くような晴れやかな気分になる。
皆川のコンセプトは「長年着用できる普遍的な価値を持つ『特別な日常服』」だそうで、だからある種の凡庸さの中に、それを着る人だけが特別感を感じられる服になっているのだろうか。
「ずっとあなたの人生に寄り添いますよ」と言ってくれているような気がする服たち。
田根剛による展示構成も素晴らしく、気持ちの良い展覧会だった。

皆川明展
皆川明展
皆川明展
皆川明展
皆川明展
皆川明展
皆川明展
皆川明展
皆川明展
皆川明展
皆川明展

安藤榮作展「天の所有物」ギャラリーNishiIma25
2020.10.18 岡山県津山市

10月18日、秋晴れの日に岡山県津山市で開催中の安藤榮作展「天の所有物」を見に行ってきました。会場は古民家を改装したギャラリーNishiIma25と元米倉だった倉庫で、その2会場に30数点の作品が展示されています。
数も多く内容も多彩な展覧会で、安藤さんの代表作である大作の「鳳凰」、「天と地の和解」、「光のさなぎ」、「2千体の人型」の他に、いくつかのシリーズ-「ゴロッとした塊」シリーズ(私が勝手に呼んでいるだけです)。ただそこにあるだけで存在の価値を持つ、抽象という理解が始まる前からあるような彫刻。その逆の「空気の狭間」シリーズ-外界の空気の圧によってできあがった板状の存在(これは安藤さん自身がそう呼んでいます)。こどもの造形のような動物シリーズ、直角に曲がる人型シリーズなどが築200年の旧家にインスタレーション展示されています。
荘厳さとユーモアが同居し、抽象と具象などといった境を軽々と飛び越え、思いもよらぬところから生み出される自由自在さが安藤彫刻の魅力の一つだろう。この自由さは安藤さんの人間や宇宙に対する理解の深さによるものであろうが、それとともに彫刻に対する理解でもあると思う。
安藤さんの作品は斧1本だけで削る、ある意味単調な制作によって作られる木彫ですが、できた作品はものすごく豊かで人間の根源的存在性を感じさせます。それは彫刻という伝統的で厳密な形式の価値ややっかいさの諸々を深く受け止めて初めて、この自由で柔軟な表現ができるのだと思う。
彫刻であるべき必然性、つまり彫刻の芸術的可能性に対する深い洞察と理解なくしては出現し得ない作品だと感じました。

安藤榮作展
安藤榮作展
安藤榮作展
安藤榮作展
安藤榮作展
安藤榮作展
安藤榮作展
安藤榮作展
安藤榮作展
安藤榮作展
安藤榮作展

ピーター・ドイグ(国立近代美術館)、オラファ・エリアソン(東京都現代美術館)展 (2020年10月4日)

先日、東京滞在時に本務とは別にどうしても行きたい展覧会があって、行ってしまった。ピーター・ドイグ(国立近代美術館)とオラファ・エリアソン(東京都現代美術館)。
幸いなことに両展とも当日発券があり、開館前に並んで入れました。
以下、個人的な感想です。

ピーター・ドイグは、結局よくわからない。個人的、地域的なテーマを扱っているのだろうけど、それに思い入れや個性があるのかと言えばそうでもなさそう。近代的な文法を引用しているところもあるけど、逆に美術の埒外に出そうな危うい雰囲気もある。それで結局これは何?って言ってもよくわからない。みんな頭に?マークを付けながら見ているのではないか。それがいいんだろうな。わからないことが危険な誘惑になってみんな見に行っているのでは。

ピーター・ドイグ
ピーター・ドイグ
ピーター・ドイグ
ピーター・ドイグ
ピーター・ドイグ
ピーター・ドイグ

オラファ・エリアソンもすごい人気だった。若い女の子がキャッキャして写真を撮っていた。ある観念や事象(それもみな人間として大事なこと)を気づかせる装置としてのインスタレーションが多く、それが視覚的にも楽しい。森美術館でやっていたレアンドロ・エルリッヒの楽しさとはタイプも違うし深さも違う。
人間の良質な部分と言うか、向かうべき人間性というか、そういうものを美術という形式で見事に実現している。日本も世界も人間の見にくい部分ばかりが目に付いて、いい加減イヤになってしまう昨今では本当に救われた気分になる。
それにしても、こんな楽しい展覧会がたくさんあるのに、見に行きづらい現状はやはり悲しい。

東京都現代美術館
オラファ・エリアソン
オラファ・エリアソン
オラファ・エリアソン
オラファ・エリアソン
オラファ・エリアソン
オラファ・エリアソン

B-galleryでの個展が終了しました(2020.9.21)

B-galleryでの個展「キオクノウツワ」(2020.9.8-9.20)が終了しました。
(展覧会の様子は「exhibition」の個展 第21回/B-gallery(2020.9.8~9.20)をご覧下さい)

この時期にたくさんの皆様にご来廊いただきありがとうございました。
この3月に退職後、松江城に近い新しいスタジオで制作を開始し、コロナで身動きがとれなかった中、5ヶ月間描きためたものを発表することができて、とても幸運でした。
個展はその展示空間全体が1つの作品であり、B-galleryさんの明るくカジュアルながらも、清潔な空間で展示できたことは喜びでした。また自分としてはその中に身をおくことで完成を見るというか、やり終える事ができると考えているので、多少不安がありながらも上京できたことは本当に良かったと思っています。
今回、高校・大学の同窓、元職場の同僚、教え子達も駆けつけてくれて、楽しい時を過ごすこともできました。
在京中、松江は何回か大雨が降り、帰松すると季節が移っていました。
今は次のグループ展の制作をしています(「exhibition」のグループ展2020 CAF.N展(2020.11.4-11.15)
これからまた籠ってこつこつと制作の日々です。
また皆様にお会いできる日を楽しみにしています。ありがとうございました。

B-galleryでの個展
松江
新しいスタジオ

「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「教え子たちの今」パート(2019年12月5日)

「新井知生の40年と教え子たちの今」展のレポートの続きです。
今回の展覧会は私個人の回顧展ではなく、島根大学で教えたゼミ生たち32名(「教え子たちの今」パート)、またその間同僚としてお世話になった5名の先生方の作品も共に展示していただきました。
私の40年の絵画制作の期間は、そのまま美術教師として奉職した期間と重なります。その中で、2001年から3年に1度、私のゼミ卒業生たちと「SEED展(新井研究室卒業生ゼミ生展)」という展覧会を開催してきました。前回は2016年に第6回展を開催しています。今回、私の美術教師としての区切りの年に、多くのゼミ卒業生と共にこの展覧会を開催できたことは大変幸せでした。

以下、展覧会の「教え子たちの今」パートの挨拶文と会場風景を載せます。

ご挨拶

この展示は、島根大学教育学部芸術教育表現講座美術専攻(美術研究室)、新井知生教授ゼミ(絵画)の卒業生有志と現役ゼミ生で構成しています。

卒業生は、皆それぞれの地で仕事や家庭を持ち、忙しい中でも作品を作る楽しみと喜びを忘れず、制作することを生きる糧として続けてきました。
またゼミ生は卒業・修了制作に向け、自分らしい表現を見つけていこうと日々模索しています。
ここでは、来年退官予定の新井教授へ教え子たちからのささやかな感謝の意も含め、このような新井ゼミの教え子たちの「今」の作品を展示しています。

会場をご覧いただくと、多様な表現スタイルがあることに気づかれると思います。
教え子たちの個性に合わせた育成とその作品も、新井知生教授の美術教育指導の成果として見ていただけると幸いです。

また、この展覧会での発表を機会に自らの制作を見直し、これからも継続していくことの原動力としたいと思っています。

ご高覧の上、ご批判賜れば幸いに存じます。

2019年11月
新井研究室卒業生・ゼミ生一同

「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展

作品を寄贈しました。(2020.1)

2019年11月の「新井知生の40年と教え子たちの今」展を観覧された方々と知り合いになり、その後もお付き合いをさせていただいていて、いくつかの作品がその方々の経営するレストラン等に貰われていきました。

松江市の多国籍料理レストラン[Green’s Baby]さん。
1980年作、CUBIC STUFFシリーズの最初の頃の作品です。絵具をアクリルに替えてこれを作りましたが、40年以上たってもその色は褪せていません。

多国籍料理レストラン[Green’s Baby]
(写真1)

それから、その斜め向かいのゲストハウス[kitatono]のレセプションにも置いてあります。
1993年作のSTUFFシリーズの作品。
Green’s Babyもこの作品もそれぞれの空間にぴったりで、ずっとそこにあるようになじんでいます。

ゲストハウス[kitatono]
(写真2)

松江市の花屋[ランパルフェ]さんに作品を2点飾っていただいています。
店内のなんとも言えないシックで優雅な雰囲気に溶け込むように設置されています。
花に囲まれている作品はコラグラフ版画4枚を組み合わせています。ニューヨークの版画工房でコラグラフを制作して、帰国してすぐの作品。
もう1点はその奥のワークショップなどをするスペースに置かれています。
ランパルフェさんはそれほど広くないのですが、大きな作品が違和感なく飾られています。

花屋[ランパルフェ]
(写真3)
花屋[ランパルフェ]
(写真4)

他に島根大学教育学部(写真5)、今岡美術館、中浦本舗本店、出雲ケーブルテレビ(写真6)などにも寄贈しました。

島根大学教育学部
(写真5)
出雲ケーブルテレビ
(写真6)

「新井知生の40年と教え子たちの今」展が終了しました。
(2019年12月5日)

たくさんの皆様にご覧いただきありがとうございました。
この展覧会は「新井知生」の40年に及ぶ制作活動を、年代と作品シリーズをもとに展示し、また卒業した教え子たちの今の作品も展示し、それを通して同じ長さで携わった教員としての活動の一端も同時にお見せするものでした。
1年半前に島根県立美術館の一般ギャラリー全室を借り上げてから、実行委員会を立ち上げ、会議と準備作業を定期的に行い、1/20模型で展示作品を決定し、古い作品を倉庫から引っ張り出し、自分で写真に撮り90ページの作品集も作成しました。また前日の搬入・飾り付けから会期中の会場係、アーティストトーク、懇親会、片付け・搬出まで多くの参加メンバーと学生に助けられてやってきました。
この展覧会は「新井知生」の集大成ではありますが、私はそれをいかに「新井知生」の望む形で皆様に伝えるか(「新井知生」のことを一番良く知っているのはたぶん私です)、また興行的にどうしたら展覧会がうまくいくかにかかりっきりになっていて、終わった今、何の感慨もありません。ただ、ほぼやり遂げたのではないか。行き届かないところがあったとしても、私の力ではこれが精一杯でしたと言えるだけはやったと思ってます。
(良くも悪くも)制作者・教育者としての「新井知生」はもうすでにあり、今回の展覧会で私はそれをプロデュースする楽しさと大変さを味わったところです。
ともかく実行委員はじめほんとうに多くの皆様に助けられて無事終了することが出来ました。
ありがとうございました。

※展覧会場の様子は「exhibition」の「新井知生の40年と教え子たちの今」展(2019.11.27-12.2)をご覧下さい。
こちらには、この展覧会のための準備や飾り付け、レセプション、アーティストトーク等の様子を載せます。

「新井知生の40年と教え子たちの今」展DM
「新井知生の40年と教え子たちの今」展ポスター
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
「新井知生の40年と教え子たちの今」展
 
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