東京展覧会巡り⑤-2(2023.6.28-7.2)新着

もう懐かしい感じになった現代美術作品を復習するような展覧会を2つ見た。

①「PLAY PLAY ART」展 ワタリウム美術館

ワタリウム美術館の70年代から90年代のコレクション作品を総観する展覧会。1点、小谷元彦の「リボーンアート・フェスティバル」出品作品「Surf Angel(2021-22)」だけが特陳。
特にテーマは感じなかった。もうすでに懐かしいという感じと、結構渋いというか、芸術に対する真摯さがあったなぁという感想。
小谷元彦、ナムジュン・パイク、ニキ・ド・サン=ファール、アンディ・ウォーホル、ジョナサン・ボロフスキー、デイヴィッド・ホックニー、小沢剛、ソル・ルイットなど。

小谷元彦
小谷元彦
ナムジュン・パイク
ナムジュン・パイク
ニキ・ド・サン=ファール
ニキ・ド・サン=ファール
アンディ・ウォーホル
アンディ・ウォーホル
ジョナサン・ボロフスキー
ジョナサン・ボロフスキー
デイヴィッド・ホックニー
デイヴィッド・ホックニー
小沢剛
小沢剛
オノ・ヨーコ
オノ・ヨーコ
ソル・ルイット
ソル・ルイット

②「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開」展 アーティゾン美術館

改装、改名なってから初めて行った。セザンヌやマティスに始まってカンディンスキーや抽象表現主義、日本の抽象まで年代順に網羅している。抽象を総復習するような展覧会。
学生の頃、わくわくしながら見たブリジストン美術館の近・現代の珠玉の作品との再会は感慨深いものがある。また今回旧収蔵作品に加えて、かなりの数の新収蔵の作品が展示されている。
最後に現代の抽象のホープ的な作家7名(津上みゆき、髙畠依子、リタ・アッカーマンら)の作品が展示されている。こういうのがあって単なる名画の総花的な展覧会で終わっていないのがいい。

セザンヌ
セザンヌ
マティス
マティス
ピカソ
ピカソ
カンディンスキー
カンディンスキー
フォートリエ
フォートリエ
デ・クーニング
デ・クーニング
ロスコ
ロスコ
元永定正
元永定正
スーラージュ
スーラージュ
津上みゆき
津上みゆき
髙畠依子
髙畠依子
リタ・アッカーマン
リタ・アッカーマン

東京展覧会巡り④-4(2023.3.20-3.24)

展覧会で作品を見るとき、自分でも制作している身からすると、純粋な鑑賞はなかなかできなくて、自分にとって有益な情報はないかとか、この手法は使えないかとかついつい考えてしまう(特に若いときは)。そうでなくても自分との距離感をいつも測りながら見ているという感じはあると思う。
しかし若い頃にすごく影響を受けた作家の展覧会は邪心なく見られる。しかしその頃の感動を思い出すようにして見るため、現実の鑑賞としては逆に上滑りしてしまい、アクティブな鑑賞ができなくなってしまうということが多々ある。
それを危惧しながらも、エゴン・シーレ展と佐伯祐三展は見ずにはいられなかった。

○エゴン・シーレ展(東京都美術館4月9日まで)

人気です。あの体を切り刻むような線が、自分の実存的な苦悩を理解してくれていると思ってしまうのは自分だけではないのだろう。私は授業でもよく紹介したりして使わせて貰った。でもあまりに見過ぎて飽きてしまうのも、怖いことだがありがちではある。実は今はシーレの作品の中では空間に埋め込まれたような茎を持つ植物や家並みの風景、またあまりないが室内風景などが人物以上に面白いと思う。それから晩年(といっても享年28だけど)、一見平凡なリアリズム人物絵画みたいになったものが逆にすごいと思っているが、今回それらの作品もきちんと展示されていてとても良かった。
今回、なぜか風景作品だけ写真OKになっていたので紹介します。

エゴン・シーレ展
エゴン・シーレ展
エゴン・シーレ展
エゴン・シーレ展

○佐伯祐三展(東京ステーションギャラリー4月2日まで)

これも人気です。やはり年配の方が多い気がする。佐伯の憂愁もまた抗しがたい魅力で、高校時代心酔した。これも見飽きてはいるがと思って内心ヒヤヒヤだったけど、やはり新しい発見があって良かった。
一般的に面白くないといわれている、日本に一時帰国した際の作品も、下落合風景はいいんじゃないか。滞船はやはり面白くなかったけど(なぜ空があんなに暗いのか)。あまり目にしない人物や静物もなかなか素敵でした。
代表作である、細い線で描かれた広告文字の作品の後に、晩年(といっても享年30歳ですが)郊外に居を移して重量感のある建物を描いているのもなるほどなと思いました。
何よりも佐伯の全年代を網羅した100点以上の作品群。その中に画集に載っている代表作品はほとんどすべてあり、また初出の作品も数点ある、この圧倒的な質・量を堪能しました。(写真NGなので駅舎のレンガの壁を)

東京ステーションギャラリー

東京展覧会巡り④-2(2023.3.20-3.24)

VOCA展(上野の森美術館)3月30日まで
3月に上京するとVOCA展には必ず行くようにしている。
VOCA展は今年で30周年だとか。VOCA展のサブタイトルは-新しい平面の作家たち-で、今回30周年記念企画として「平面」≠「絵画」~絵画と平面の境界線~ という展示もある。
30年間常に平面と絵画の問題はついて回っていただろうけど、その解釈は難しい。
以下、勝手な解釈ですが、
VOCA展が発足した1994年当時は「絵画」が「平面」に取って代わられ、壁に従属するような機能しかないモノになっていた。そこからの脱却を求め、空間として価値ある平面=原初的世界像を表出する平面=絵画 を創出するべく悲愴な決意を持った作家の作品がVOCA展に登場した。いわく赤塚祐二、吉川民仁、丸山直史、東島毅、小林正人、野沢二郎・・・などの実験的作品がそうで、それはすばらしい光景だった。
その後2000年代に入ると、絵画がなんかまた矮小化したようなあまり面白くない感じになった。VOCA展もこんなモノでいいのかなとがっかりしちゃって、それほど見たいと思わなくなった。
絵画が大きなくくりで語れる物語は持たなくなって久しい。でも最近はそれぞれみんな違ってみんないい的な感じで、よくわからないけど作品1点1点は面白いと思う。出品規定が壁から20cmまでとなっていて、また素材も問わないことから写真、映像、陶芸、テキスタイルなどほとんど何でもいい。であれば、絵画と平面の違いと言うよりなぜ平面にこだわるのかもよくわからない。
30年前とは隔世の感がある。今でもその頃の作品は好きだが(彼らの作品ももちろん変化している)、しかしなぜか30年前の作品を今見るより、今のVOCAの作品がやはりおもしろいと思ってしまう。
という感想でした。

VOCA展
VOCA展
VOCA展
VOCA展
VOCA展
VOCA展

(VOCA展受賞者の作品を収蔵している第一生命の本社ロビー-銀座-で、過去の受賞者の展示-今は女性作家の作品-をしていて、それも見た)

VOCA展
VOCA展

VOCA展のついでにSCAI THE BATHHOUSEまで足を伸ばし「宮島達男展」(4月15日まで)を見た。数字のビーズが壁から離れ床に落ちていた。

VOCA展
VOCA展
VOCA展
VOCA展

東京展覧会巡り④-1(2023.3.20-3.24)

先週、埼玉県立近代美術館で「ポローニア」展というグループ展に出品していました2023年3月21日-26日)。
「ポローニア」展は大学の先輩方のグループ展で、それに今回加えていただきました。「ポローニア(Polonia)」とは「桐」のことで、大学の校章に使われているシンボルで、たしかよく行った構内の喫茶店もその名前でした。

「ポローニア」展

現在、埼玉県立近代美術館での企画展が「戸谷成雄」展で(2023年5月14日まで)、グループ展の受付の合間に、戸谷作品が全年代にわたりこれだけ多く見られたのはラッキーでした。空間をゆったり使った展示レイアウトに、戸谷の重量感ある「森」シリーズなどの作品は迫力満点でした。戸谷の作品に「ミニマルバロック」と本人が命名(造語)したシリーズがありますが、その名の通り基本的な彫刻の概念、構造に対する深い思索と、人間的な内実(情念)が融合したような表現は見応えがありました。

「戸谷成雄」展
「戸谷成雄」展
「戸谷成雄」展
「戸谷成雄」展
「戸谷成雄」展

今回、長くはない滞在でしたが、足が動く限り展覧会を見て回ったので、これからいくつかアップしていきたいと思います。とりあえず友人の展覧会から。

○池袋B-galleryの「長はるこ」展。ギャラリーオーナーで版画家の長さんのシルクスクリーン作品と、大学院同窓の沼尻昭子さんの立体作品(壁のオブジェ)のコラボ展。両氏が同じネパール紙を素材にしています。(4/9まで)

「長はるこ」展
「長はるこ」展

○銀座ギャルリー志門の「Monochrome」展。古くからの友人が何人か出品しています。(3/25で終了)

「Monochrome」展
「Monochrome」展

東京展覧会巡り③(2022.12.12-12.15)

レポートその③です。
国立新美術館「ドマーニ明日」展。
毎年この時期開催の、「新進芸術家海外研修制度(旧・文化庁派遣芸術家在外研修制度)」で海外研修をしてきたアーティストの成果発表展覧会ですが、以前、少なくとも旧・安田火災東郷青児美術館でやっていたときには、文字通り直近数年間の派遣研修員の選抜展でした。しかし最近は出品者の研修時期も年齢もバラバラで、人選やコンセプトがよくわからない展覧会になっているような気がします。
今回も伊藤誠や北川太郎の様なきっちり確実で評価も定まっていて、研修時期も古いアーティストから、人気作家で今回4回目の出品の丸山直文、2回目の小金沢健人、そして最近派遣された若手アーティスト数名という人選になっています。全体として共通のテーマがあるというわけではないようで、研修の成果発表としては4回は多すぎるし、人選の意図がわかりませんが、展覧会自体は、ひとりひとりの作品の質が高く見応えのあるものでした。

伊藤誠
伊藤誠
北川太郎
北川太郎
丸山直文
丸山直文
大崎のぶゆき
大崎のぶゆき
石塚 元太良
石塚 元太良
小金沢健人
小金沢健人

同じく新美術館の「Idemitu Art Award」。(「ドマーニ明日」展のチケットを提示すると無料で入れます)
「シェル美術賞展」が名称を変えたそうです(びっくり)。「シェル美術賞」は「FACE展」や「VOCA展」と並ぶ「若手作家の登竜門」として有名ですが、その中でも最も歴史の長いものです。
最近の絵画の動向を見るのにはとても参考になりますが、最近の若手は普遍性や精神性、また宇宙的な大きなものには向かわず、身近なものに目を向けることが多いですが、それも確固たる信頼はなく気分や雰囲気的な感じが多く、抽象的でも描写的でもないという、あやふやなもの多いです。そういった感覚が今日的らしく、今回のグランプリの作品もそんな感じで、面白いとは思うものの若干見飽きてきた感もあります。

Idemitu Art Awardグランプリ作品
グランプリ作品
Idemitu Art Award
Idemitu Art Award
Idemitu Art Award
Idemitu Art Award
Idemitu Art Award

帰りの搭乗便の時間が迫る中、モノレールの天王洲アイル駅で下車してTERADA ART COMPLEX に駆け込み、どうしても見たかったMAKI GALLERYのブライアン・ハート展を見ました。ブライアン・ハート(Brian Harte)はとても好きな作家(もう「推し」的な感じです)で、前回のMAKI GALLERYの個展が見られなかったので、今回を逃すとまたいつ見られるかわからないと思い、必死に走りました。ハードエッジと曖昧空間、身近な形象と抽象、プライベートと客観が見事に混じり合っています。
残念ながら他の作品を見る時間がなく、また走ってモノレールに戻り空の人となりました。

ブライアン・ハート展
ブライアン・ハート展
ブライアン・ハート展
ブライアン・ハート展
ブライアン・ハート展
ブライアン・ハート展
ブライアン・ハート展

お盆にいくつかの展覧会を回った(2022.8.12-8.15)

今年のお盆は栃木県、那須高原の一棟建てを借りて家族で過ごしました。普段離ればなれになっているので、こういう機会を作って時々子どもたちと会っています。
那須には奈良美智美術館に行き、その後皆と別れて東京でいくつか展覧会を見ました。寺田倉庫は新しい現代美術スポットとして話題だったので行けて良かったです。

「N’s Yard 奈良美智美術館」(那須塩原市)

那須高原の人出と喧噪はすごかったですが、ここに来るとゆっくりと落ち着いた時間が流れてました。大きくはないけれど充実した内容の美術館でした。ただ奈良の作品と奈良がコレクションした作品がランダムに展示されていて、しかも壁にキャプションがないので、よく知らない人は戸惑うかも。奈良の他に、村瀬恭子や名和晃平らの作品がありました。

奈良美智美術館
奈良美智美術館外観
奈良美智
奈良美智
奈良美智
奈良美智

奈良美智
村瀬恭子
村瀬恭子
名和晃平
名和晃平

「YES YOU CAN」展 WHAT MUSEUM (寺田倉庫)  2022.8.6-10.16

WHAT MUSEUM1階では「建築模型展」(2022.4.28-10.16)をやっていて、これも面白かった。写真は藤森照信の「ワニ」。
2階は桶田夫妻のOKETA COLLECTION から「YES YOU CAN アートから見る生きる力」展。加藤紘加、ジャデ・ファドジュティミら若手女性作家の魅力的な作品が多く楽しめた。今年VOCA賞を取った川内理香子も見られて良かった。

What-Museum
WHAT MUSEUM外観
藤森照信「ワニ」
藤森照信「ワニ」
加藤紘加
加藤紘加
ジャデ・ファドジュティミ
ジャデ・ファドジュティミ
川内理香子
川内理香子

「地球がまわる音を聴く」 森美術館 2022.6.29-11.6

ヴォルフガング・ライプ、エレン・アルトフェスト、ギド・ファン・デア・ウェルヴェ、青野文昭、横尾貞治、金沢寿美など、どの作品もキリッと厳しく、またなんとも人間愛に溢れていた。
彼らは皆、美術そのものの問題などすでに考えていないと思えるくらい、超越している。自分が生きるため、また人類が生き残るために何が必要か、人間の生と死への本質的な問い、その問題意識が切実で、ギリギリで厳しくまた優しい。胸に響くすばらしい展覧会だった。

ヴォルフガング・ライプ
ヴォルフガング・ライプ
エレン・アルトフェスト
エレン・アルトフェスト
ギド・ファン・デア・ウェルヴェ
ギド・ファン・デア・ウェルヴェ
青野文昭
青野文昭
横尾貞治
横尾貞治
金沢寿美
金沢寿美

関西の展覧会を巡って(2022.7.10-12)

久しぶりにグループ展(CAF.Nびわこ展)に出品して、ギャラリートークに参加した機会に、関西地方の展覧会を回ってみました。
大阪・北加賀屋のkagooや千鳥文化ホールで開催の「TIDE―潮流が形になるとき」。周辺のオブジェやラクガキも一体になって美術好きには楽しいエリアになっている。
その先のクリエイティブセンター大阪(名村造船所跡地)の「ART OSAKA 2022 EXPAND SECTION」。小清水漸と植松奎二はさすがに圧巻の展示だったけど、他の作品は私にはいいのかどうかわからなかった。
国立国際美術館「遠い場所/近い場所」。コレクション展だけど、渋くて充実した展示。見たいと思っていたマーク・マンダースが初めて見られて良かった。
兵庫県、BBプラザ美術館の太田三郎展「人と災いのありよう」。太田のライフワークである、災い(戦争も含めて)に遭遇した人や物を切手に託すシリーズ。
兵庫県立美術館「関西の80年代」展。当館で80年代に開催していた「アート・ナウ」展等で活躍した「関西ニューウェーブ」作家たちを中心にした大規模作品の展示。この頃はよく知っているので懐かしかった。質、量共に充実していて見応えあり。

大阪・北加賀屋のkagoo
作品
作品
作品
千鳥文化ホール
作品
作品
作品
作品
作品
作品
作品
作品
作品
作品
作品
作品
作品

民族学博物館など(2021.11.8)

11月上旬の穏やかな日、用事と観光を兼ねて車でちょっと遠出をしてきました。
国立国際美術館がこちらにあったときにはよく来ていた大阪万博公園。民族学博物館も久しぶりでした。膨大な展示資料。形体的な面白さにももちろん惹かれるけど、その中に長い人類の歴史と広がりがあるので、単なる日常品がどれも貴重で確かなものに思える。世界の各地域を見回った後、最後に日本の展示がありますが、自分がこうだと思っている日本(他の国と比べて割とさらっと静かとか)の感じではなくて、どこかおどろおどろしい異国的な呪術感を覚えた。あれはなんだろう。

民族学博物館
民族学博物館

六甲山にある「風の教会」に行ってみました。安藤忠雄の初期作品です。今だけ六甲ミーツアート関連で内部公開しています。天井に束芋のアニメーション作品が映し出されていました。冷たいコンクリートの壁に内蔵的な生き物がうごめいていて、教会的な清廉さと人間の本性っぽい対比がとても良かった。

六甲山
風の教会

それから神戸ゆかりの美術館まで足を伸ばして「ミロコマチコ」展。こういう時期(と言ってもコロナも長いですが)には、あまり観念的な難しいものより、体感的に直接受け取るようなものが観たくて。画像等では観ていたけど、本物はより体の隅々まで入ってくる感じで良かった。最近の作品は動物でも人間でもない、不思議な形(精霊のようなもの)を描くようになっている。

「ミロコマチコ」展
「ミロコマチコ」展

皆川明展「ミナペルホネン つづく」兵庫県立美術館 2020.11.1

難しいコンセプトや斬新なスタイルがあるわけではない。しかしなぜか心に沁みる。古くて新しい。新鮮で滋味深い。自由で開かれている。だから心に風が吹くような晴れやかな気分になる。
皆川のコンセプトは「長年着用できる普遍的な価値を持つ『特別な日常服』」だそうで、だからある種の凡庸さの中に、それを着る人だけが特別感を感じられる服になっているのだろうか。
「ずっとあなたの人生に寄り添いますよ」と言ってくれているような気がする服たち。
田根剛による展示構成も素晴らしく、気持ちの良い展覧会だった。

皆川明展
皆川明展
皆川明展
皆川明展
皆川明展
皆川明展
皆川明展
皆川明展
皆川明展
皆川明展
皆川明展

ピーター・ドイグ(国立近代美術館)、オラファ・エリアソン(東京都現代美術館)展 (2020年10月4日)

先日、東京滞在時に本務とは別にどうしても行きたい展覧会があって、行ってしまった。ピーター・ドイグ(国立近代美術館)とオラファ・エリアソン(東京都現代美術館)。
幸いなことに両展とも当日発券があり、開館前に並んで入れました。
以下、個人的な感想です。

ピーター・ドイグは、結局よくわからない。個人的、地域的なテーマを扱っているのだろうけど、それに思い入れや個性があるのかと言えばそうでもなさそう。近代的な文法を引用しているところもあるけど、逆に美術の埒外に出そうな危うい雰囲気もある。それで結局これは何?って言ってもよくわからない。みんな頭に?マークを付けながら見ているのではないか。それがいいんだろうな。わからないことが危険な誘惑になってみんな見に行っているのでは。

ピーター・ドイグ
ピーター・ドイグ
ピーター・ドイグ
ピーター・ドイグ
ピーター・ドイグ
ピーター・ドイグ

オラファ・エリアソンもすごい人気だった。若い女の子がキャッキャして写真を撮っていた。ある観念や事象(それもみな人間として大事なこと)を気づかせる装置としてのインスタレーションが多く、それが視覚的にも楽しい。森美術館でやっていたレアンドロ・エルリッヒの楽しさとはタイプも違うし深さも違う。
人間の良質な部分と言うか、向かうべき人間性というか、そういうものを美術という形式で見事に実現している。日本も世界も人間の見にくい部分ばかりが目に付いて、いい加減イヤになってしまう昨今では本当に救われた気分になる。
それにしても、こんな楽しい展覧会がたくさんあるのに、見に行きづらい現状はやはり悲しい。

東京都現代美術館
オラファ・エリアソン
オラファ・エリアソン
オラファ・エリアソン
オラファ・エリアソン
オラファ・エリアソン
オラファ・エリアソン
 
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