美研のあれこれ⑪

大原美術館
大原美術館

前回のtopicsが美術館巡りを半年分まとめて記録したのと同じように、今回「美研のあれこれ」もこの夏からの半期分をまとめて書くことになってしまいました。

もっとこまめに書かなくてはと思いつつ・・・・まぁ今年中に間に合っただけでもいいとして。

1.オープンキャンパス(8月7日)

島根大学教育学部は8月7日(木)にオープンキャンパスを開催しました。
午前中の全体説明に続いて午後は各専攻で個別入学体験が開かれました。
「美術専攻」では教員による専攻の説明(下の①②)と学生による授業の説明や交流(下の③④)、教員による持参作品の講評(下の⑤)という内容で実施しました。

専攻・コース入学体験 「ようこそアートの世界へ」
① 美術専攻4年間の学びについて
美術の各分野の紹介のほか、パワーポイントでカリキュラムの特徴・学生生活・実習や専攻別体験などを説明しました。
②推薦・前期入試について
推薦入試の内容と前期入試について説明し質問を受けつけました。
③絵画室などの施設と学生作品見学
学生が絵画室、彫刻室、デザイン室などの施設とそこに展示した授業作品を紹介し、授業の内容などを説明しました。
④在学生との交流会(写真①)
在校生15名ほどが絵画室で参加生徒と交流を持ちました。授業のこと、課題のこと、学生生活のことなど和気あいあいと話をしました。
⑤「持参作品の講評」 
参加者が持参したデッサン、水彩画、油彩画、彫刻・工芸作品、ポスターなどのデザイン作品等を専攻の教員が講評・アドバイスをしました。


写真①

③の学生による施設や授業作品の解説はとても好評です。学生自身の口から大学生活のことや入試のことなど直接話を聞けるので、参考になりまた親近感がわくようです。
また私たち教員は特に⑤の「持参作品の講評」に力を入れています。たくさんの高校生の作品を見、またそれを通して高校生や先生方との交流を深められたら幸いです。

また島根大学教育学部美術専攻について興味のある方、質問等のある方は新井までメール(arai@edu.shimane-u.ac.jp)にてご相談ください。
なお美術専攻のデジタルパンフレット2014年版が、島根大学教育学部ホームページの以下のサイトでご覧になれます。
URL http://www.edu.shimane-u.ac.jp/ より「専攻分野」→「美術教育」→「美術教育専攻パンフレット2014年度版はこちら」
また、私たち教員スタッフについては同じく島根大学教育学部ホームページ「教育研究スタッフ」→「美術教育」でご覧になれます。

2.美術館ワークショップ(8月9日〜12日)

今年も島根県立美術館で子ども向けのワークショップを開催しました(写真②)。
これは3年生の専攻別体験学修の一環で、前期の「造形授業構成研究」授業の中で企画、題材設定、演習等をし、夏休みに美術館で実習を兼ねてワークショップを開くものです。
このワークショップで学生は美術題材の設定から実際の説明・指導ばかりでなく、様々な参加者との対応までを体験し、すぐ後期に控えている教育実習への基礎を築くものとなります。
今年は8月9日から12日の4日間、同時期に企画展として開催されている、「浮世絵」展とリンクして、「めざせ版画職人 色を重ねて浮世絵ランプ」と題して、木版の印刷を重ねた作品を使ってランプを作るワークショップを開催しました。(写真②、③パンフレット)

美術館ワークショップ
(写真②)
美術館ワークショップ
(写真③)

あらかじめ作ってある木版を多色刷りして、ランプシェードにするものです。とても複雑な手順なので時間もかかり、その分創作の時間が少なくなったのが残念だったですが、3年生8名の説明や事前の準備、また息もぴったりで気持ちの良いワークショップになりました。
3年生はこの経験を生かして9月から教育実習をしますが、学校教材の場合は、ワークショップの題材と違い、受講者が自らの独創での制作活動を多く入れなくてはいけません。またその時にすぐできてしまうのではなく、悩んだり葛藤したりする中で自分なりの造形物となるような活動を保証する指導が必要になります。そうした美術活動の本質を取りこんだ題材、授業案を創ることが教育実習では必要になってきます。

3.教育実習 (8月28日〜9月30日)

3年生の教育実習Ⅳが附属中学校で行われました。
8人の学生が4人ずつ1年生と3年生の担当になって授業題材を考え、1か月間の実習に取り組みました。
1年生は「抽象作品を作ろう−オノマトペをいかして−」。

ニョキニョキやビヨーンなどのオノマトペから連想されるかたちを土粘土で抽象作品として表現する制作です。抽象は中学生にとって難しい題材ですが、擬音のイメージをもとにすることで、形を立体的な抽象として表わすことにうまく結びつけました。制作の要点として①ボリュームを持つこと②動きを作ること③バランスを見ることの3点を説明して、純粋形態としての抽象に生徒の感覚が向かうように指導しました。充実した実践で面白い作品が生まれたと思います。(写真④⑤⑥)

教育実習(中学1年生)
(写真④)


教育実習(中学1年生)
(写真⑤)
教育実習(中学1年生)
(写真⑥)

3年生は「針金で創ろう立体アート」。こちらも立体の抽象作品制作です。針金という線材を直線、曲線などいろいろな形に変形することで、動きを持った抽象作品制作を行いました。こちらは、制作の要点を①線の動きで空間を作る②線のつながりで面を感じる③全体のバランスを作る、の3点として、やはり感覚的な抽象制作への目を生徒に持たせるようにしました。(写真⑦⑧⑨)

教育実習(中学3年生)
(写真⑦)


教育実習(中学3年生)
(写真⑧)
教育実習(中学3年生)
(写真⑨)

今回、1,3年とも題材が抽象の立体作品制作となりましたが、両学年とも立体としての造形要素とをきちんと取り入れ、既成概念でできる説明的、観念的な形にしないで、形そのものの面白さ、美しさを創造し感じるよう指導できたことが成果だと思います。

4.島根大学公開講座 −シルクスクリーンでオリジナルプリントを作ろう−
(10月30日〜11月13日)

毎年秋恒例の島根大学生涯学習講座、今年は「版画講座」−シルクスクリーンでオリジナルプリントを作ろう−と題して3週に渡って実施しました。

この講座、はじめのころは油彩画をやっていましたが、最近は版画講座シリーズで、一昨年の木版リトグラフ、昨年の厚紙版ドライポイントでした。今年はシルクスクリーン。
自分だけのオリジナルマークをデザインして、それをシルクスクリーンのカッティング法で製版します。できたら皆でTシャツやハンカチ等の布にプリント。
最後はみんなで寄せプリントをしました。(写真⑩⑪⑫⑬)

このシルクスクリーンのカッティング法は、制作手順が変化に富んで面白く、しかも初心者でもそれぞれ自分の構想に合わせて皆うまく作れるので、楽しくそして達成感のある制作になります。

版画講座
(写真⑩)
版画講座
(写真⑪)
版画講座
(写真⑫)
版画講座
(写真⑬)

5.「教員養成モデルカリキュラムの試行的実践と改善 第2回シンポジウム」
(於:鳴門教育大学)に討論会評価者として参加しました。

2014年12月3日、鳴門教育大学にて「教員養成モデルカリキュラムの試行的実践と改善 第2回シンポジウム 『学生に教科の本質をどう伝えるか −中学校教員養成における教科専門科目のあり方−』」(写真⑭)が開催されました。

鳴門教育大学シンポジウム
(写真⑭)

このシンポジウムでは鳴門教育大学が長年取り組んでいる、教員養成教育のためのカリキュラムや教科内容授業研究の成果の発表と、またそれに対して協議が行われました。
今回、そのシンポジウムでのテーマとして「中学校教員養成における教科専門科目のあり方」に関する発表と討論会が行われ、私はそれを受けて最終評価をしました。
教員養成大学・学部の教科専門教員の行うべき授業については、2004年の在り方懇の答申以来、教科内容学研究という形で研究が重ねられてきました。現在鳴門教育大学を中心にそのテキスト化が進められていますが、今回のシンポジウムは、教科専門教員の授業内容を、教員の実際の発表をもとにしてもう一度検証しようとしたものです。
私は何人かの教科専門教員の授業実践報告と討議の後で、現在の教科専門教員の立場と課題を、○専門教育に対する教員の意識の転換、○専門内容の教育実践の立場からの再構築、○教科内容の構成原理としての学問研究のメタ化と「専門的視座」の獲得、学問史修得 などの点を中心にまとめました。(写真⑮⑯)
今や、教員養成大学・学部の教科専門教員の授業に関するこのような論議は避けては通れないものとなっています。

鳴門教育大学シンポジウム
(写真⑮)
鳴門教育大学シンポジウム
(写真⑯)

鳴門教育大学は島根からはかなり遠く6時間以上かかります。シンポジウムの翌日、島根に帰る途中、倉敷に途中下車し大原美術館に行きました。
ここに来るのはもう6回目か7回目になります。おなじみの作品と再会しました。
ゴッホからセザンヌ、ピカソ、マティス、モディリアー二、クレー・・・高校生のころ、毎晩図録や画集を喰らいつくように見ていた作品たちです。これらの作品との出会いから私は美術に夢中になり、いつの間にか絵とともに歩む人生を選んでしまうことになってしまった。近代美術との出会いは私にとって運命だと思います。
大学を出てからは、自分の絵画探求上の方向として現代における絵画の在り方を追求する中で、近代美術は超克すべき存在となりました。近代の個人主義、人道主義、造形主義を乗り越えないと今の自分の絵画を確立できないものとなりました。
それからは展覧会でもずっと現代美術を追い続け、最近では知らないアーティストの新しい作品を求めて、ガツガツと展覧会を回っていますが、その日ばかりは近代絵画を懐古しました。たまにはいいでしょう。

ところで、大原美術館の分館は日本美術の専門館で、やはり懐かしい作品がたくさんあります。その地下を行くと現代美術が展示してあり、その一番奥には、あまり知られていないけど、今をときめく作家の作品−東島毅、堂本右美、津森みゆき、会田誠・・・・−がひっそりと展示されています。いいものばかりです。ここに来るとさすがに血がさわぐ。

ということで今年も年が詰まったところで慌てて「美研のあれこれ」をまとめて書きました。
来年はきちんと報告できるようにしたいです。
よいお年を!


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