■第15回個展/2015.4.29-5.18 山口画廊 千葉市

[exhibition]で記録した山口画廊での個展の番外編です。

今回の山口画廊での個展ではFBにイベントページを立ち上げて「友達」を招待してみました。https://www.facebook.com/events/1568690973385294/

下の文章はそのイベントページの紹介文です。

「千葉市の山口画廊での4年ぶり5回目の個展です。
小品を34点ほど展示します。
今回の個展には「通り過ぎる風景」というタイトルを付けました。
「通り過ぎる風景」とは人の意識や記憶の中で現れては消える景色のようなものを言っています。
人はその内側に意識や記憶があります。また外側には別の世界があります。でも人と外界とは分かれているわけではなく、それぞれがそれぞれを反映しあい、私たちは内なる意識と外なる世界の関係性の中で生きているのはないかと思います。
また人の存在とは世界と接触したその意識や記憶の積み重ねではないかと考えています。
今回の個展では、私が外界と関わる中で私の意識を通して像となったものを絵画として提示するものです。
お近くの方は是非お立ち寄りください。」

展示風景1
(展示風景1)

そして5月18日に個展が終了した時、このイベントページに次のようにPOSTしました。

「5月18日で個展が終了しました。

ご来廊の皆さま、またこのページからの発信にお付き合いいただきました皆さま、ありがとうございました。

今回の制作は、どう描くかという構想もなく、予期せぬものに反応して描き、また出てきたものに続けて描くという作業をしました。いずれどこかに帰結するだろうという、少しの自信と期待がありましたが、なかなかそうはいかず、何度も壊しては描くことの繰り返しになりました。その中で新しい形と空間が生まれたと思うこともあり、またいつもの自分の持っているものが出てしまったとがっかりすることもあり、結局こんなところに辿り着いたというのが今回の作品でした。
今頃になって自分を知るいい修業になりました。

山口画廊のオーナー、山口雄一郎氏にはいつものように、自分の勝手な制作を暖かく見守っていただきました。山口画廊のHPにも硬質な文章で紹介いただいています。
「PRESENT」http://www.yamaguchi-gallery.com/present/
「REVIEW」−花でしかありえぬために−
http://www.yamaguchi-gallery.com/画廊通信-vol-139/f

また今回久々の関東での個展ということで、プライベートでも、大学時代の同級生や先輩、後輩と何十年振りかで会えたり、元同僚や教え子、今の教え子たちに来てもらったりと、楽しい再会の時間が過ごせました。

皆さまいろいろとありがとうございました。」

展示風景2
(展示風景2)

小品の個展はここのところやってなかったので、かなり制作に戸惑い、上に書いたようにそれこそ何十回となく描き直しました。どこまで行けば自分の作品になるか分からず、暗闇をさまよっているようで、徒労とも思えるような時間を重ねました。
それで出てきたのがこれですから、まぁこれは結構自分なんだろうなぁと納得せざるを得ません。画面上の構成を排することを考えながらやっているのですが、どうしても構成してしまうこと、もっとグレイッシュとかディープな色が使いたいと思っているのに、明るく優しい色使いになってしまうこと、空間の整合性が気になることナドナド・・・・それから後で気づいたのですが、驚いたことに、高校の時出会ったニコラ・ド・スタールが長い時の流れを経て、自分の中に残っていたのだという事実。高校生の時、毎日石膏デッサンに明け暮れ、いつも暗くなってから1人とぼとぼと帰って行ったその帰り道の本屋で初めて見た美術手帖のニコラ・ド・スタール。あの時の衝撃は忘れられません。あの単純化した色彩に込められた乾いたセンチメンタリズム・・・・・うーむ、私にとって近代はなかなか超克できないものなのだ。

通り過ぎる風景No7
通り過ぎる風景No7
通り過ぎる風景No9
通り過ぎる風景No9


通り過ぎる風景No10
通り過ぎる風景No10
通り過ぎる風景No15
通り過ぎる風景No15
 
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