東京展覧会巡り②(2022.12.12-12.15)

レポートその②です。
森美術館の「六本木クロッシング」。
同じフロアーで開催している「YUMING MUSEUM」と「冨樫義博展」(この漫画家について全く知らない)は行列ができているのに、「六本木クロッシング」 は予約なしでもスイスイ。しかし入ってみると作品の持つ切実なエネルギーに圧倒されます。「六本木クロッシング」はいつも人間としてギリギリのところで制作しているアーティストが選ばれている印象がありますが、今回もヒリヒリするような痛みや叫びが聞こえてくる(それが時にユーモラスな表現をとることもありますが)ような素晴らしい展示だと思いました。
人類や自然、歴史や文化とどう関わっていくのか、それを自分のこととして美術的手法でなんとか応えようとする真摯さと気概を感じる展覧会でした(個人的感想ですが)。
「MAMコレクション:自然を瞑想する」の久門剛史、ポー・ポー、梅津庸、「MAMプロジェクト」の山内祥太も良かった。

青木千絵
青木千絵
金川晋吾
金川晋吾
AKI INOMATA
AKI INOMATA
キュンチョメ
キュンチョメ
市原えつこ
市原えつこ
石垣克子
石垣克子
SIDE CORE2
SIDE CORE2
進藤冬華
進藤冬華
梅津洋一
梅津洋一
山内祥太
山内祥太

国立近代美術館の「大竹伸朗展」。
こちらは一応予約して入りましたが、なくても大丈夫そうです。
大規模回顧展ということでかなり期待していましたが、自分の中ではなんだか薄い印象しか残りませんでした。
もともとかなり好きなアーティストで、直島など作品も結構見てきました。中でも2006年東京都現代美術館の個展「大竹伸朗 全景 1955-2006」の印象が強く、そのため今回大竹というアーティストをなぞって見てしまったのか、またはその前に見た「六本木クロッシング」の衝撃が強かったためなのか、よくわからないですが、ただただ「美しい」作品群として目に映りました(これも個人的感想です)。
年代順でなくテーマごとの展示で、そのテーマの意図がよくわからず、またアプリで作品リストや解説を見なければならない煩わしさも影響したかもしれません。
こういうこともあります・・・・といった感想です。

大竹伸朗
大竹伸朗
大竹伸朗
大竹伸朗
大竹伸朗
大竹伸朗
大竹伸朗

東京展覧会巡り(2022.12.12-12.15)

用事で数日東京に滞在しました。約2日の自由時間でいくつかの展覧会を見ました。見たいものがたくさんあって、全部は見られませんでしたが、限られた時間の中でかなりの数の展覧会を回りました。そのレポート①です。
旧友の個展がいくつかありました。
80年代末から90年代にかけていくつかのグループ展でご一緒させていただいたり、コンクールでよく顔を合わせていた方々です。現在も精力的制作、活躍されています。
黒田克正展/ギャルリー東京ユマニテ/12.8-12.28
醍醐イサム展/K‘s Gallery/12.6-12.18
原大介展/椿近代画廊/12.5-12.16
寺田和幸展/Galerie 412/12.5-12.17
醍醐酸、原さん、寺田さんとはお会いでき、その頃の話になると30年以上前なのに皆さん良く覚えていて、懐かしい思い出に花が咲きました。最後に行ったGalerie 412は表参道ルイ・ヴィトンの真ん前。思いがけずクリスマスイルミネーションが見られました。

黒田克正展
黒田克正
黒田克正展
黒田克正
醍醐イサム展
醍醐イサム
醍醐イサム展
醍醐イサム
原大介展
原大介
原大介展
原大介
寺田和幸展
寺田和幸
寺田和幸展
寺田和幸
クリスマスイルミネーション
クリスマスイルミネーション
クリスマスイルミネーション
クリスマスイルミネーション

伊藤昭一 写真展「迷鳥」に行ってきました(2022.11.19)

松江市出身の建築家滝山作氏の設計による集合住宅ループハウスの一室101号室がギャラリーとしてオープンしました。
こぢんまりとして適度に入り組んだ空間と真っ白い壁面が、住宅でありながらギャラリーとして立派に機能しています。
今回こけら落としの展覧会として、伊藤さんの無機質な山陰の海景写真がこの空間にみごとにはまっていました。
発表の場の少ない松江市に、こんな展示スペースがこれから機能していくことを大いに期待します。

伊藤昭一写真展
伊藤昭一写真展
伊藤昭一写真展
伊藤昭一写真展
伊藤昭一写真展
伊藤昭一写真展
伊藤昭一写真展
伊藤昭一写真展

東京・展覧会鑑賞と思い出の地巡り(2022.9.21-9.25)

池袋B-galleryでの個展開催中、午前中は時間があるので、東京をふらふら歩いていた。主に展覧会鑑賞と思い出の地巡りです。

・台東区谷中の「SCAI THE BATHHOUSE(スカイザバスハウス)」の「李禹煥-物質の肌合い」展。60年代の作品が多い。同時期にやっている新美術館の展示に比べてもちろん小規模だが、素晴らしい作品ばかり。根津・谷中・千駄木のこのあたりは昭和っぽい町並みが今人気。文豪の史跡なども多く、確かに歩いているだけで面白い。

SCAI THE BATHHOUSE(スカイザバスハウス)
SCAI THE BATHHOUSE(スカイザバスハウス)
李禹煥
李禹煥
李禹煥
李禹煥

・西荻窪「数寄和」の「岸本吉弘」展。西荻も住みやすそうな感じ。特に駅裏の飲み屋街は独特の雰囲気で楽しい。そこから中央線で一駅先に行って吉祥寺の井の頭公園へ。学生の頃何度も来た。甘い話だったらいいのだが、大体がその先にある友達の家に遊びに行っていた時に通っただけ。ただそのあたりの喫茶店も感じいいし、又吉直樹の『火花』のロケ地で、見覚えのある場所もあって久しぶりに来て良かった。

岸本吉弘
岸本吉弘
井の頭公園
井の頭公園
井の頭公園
井の頭公園

・東京都庭園美術館の「旅と想像・創造」展。庭園美術館の前身である旧朝香宮邸の朝香宮夫妻の100年前の欧州旅行の跡を追った展示を中心に、高田健三らの旅の紹介。そして最後に旅にまつわる現代美術。宮永愛子、福田尚代、さわひらき、栗田宏一など。この美術館も何回か来ているけど、時々面白い企画をする。

東京都庭園美術館
東京都庭園美術館
「旅と想像・創造」宮永愛子
「旅と想像・創造」宮永愛子

・本郷の「トーキョーアーツアンドスペース」。台北国際芸術村15周年交流記念展「ひもとく」展。いつも地味にいいものをやっている。御茶ノ水を一回り。湯島聖堂、レモン画翠、ニコライ堂などを巡る。学生の頃レモン画翠によく来たが、「クラシック」という名曲喫茶があってそこにも良く寄った。さだまさしが食べかけの檸檬を放った聖橋。レモンといえば梶井基次郎を思い出すが、梶井のレモンは丸善の本の上に置かれた。

トーキョーアーツアンドスペース
トーキョーアーツアンドスペース
「ひもとく」展
「ひもとく」展
「ひもとく」展
「ひもとく」展
ニコライ堂
ニコライ堂
聖橋からの眺め
聖橋からの眺め

・宿泊中の大塚駅近くのホテル前から都電が出ている。都電荒川線に乗って「鬼子母神前」で降りる。私の心のふるさと雑司ヶ谷をぶらぶら。大学生の四年間ここに住んでいた。下宿もバイトをしたお菓子屋もよく行ったラーメン屋ももうなくて、池袋まで歩いた道もよくわからない。雑司ヶ谷霊園に行った。夏目漱石の墓など有名人のお墓がいっぱい。松江にゆかりの小泉八雲や村山槐多、俳人の杉田久女の墓もある。

鬼子母神
鬼子母神
夏目漱石の墓
夏目漱石の墓
小泉八雲の墓
小泉八雲の墓

・B-gallery隣の自由学園明日館。休みの日は結婚式が多くてなかなか中に入れてもらえない。

自由学園明日館
自由学園明日館

安西水丸展 世田谷文学館 (2021.8.18)

いつもは一応美術家として展覧会を見ますが、これだけはほとんどファン心理です。ただただ見たい。
ペンの細いスミ線と明快な色面(パントーン)のスタイル、その後の下手っぴ風な色鉛筆の直描きイラスト、村上春樹や嵐山光三郎らとの交友、俳句、お酒や旅などのエッセイ、どれも好きですが一番好きなのは小説です。
「手のひらのトークン」などの淡々としたニューヨークものもいいですが、「アマリリス」などちょっと隠微な恋愛ものも結構あって密かに好きです。
多才多趣味で余裕があり、優雅に人生を楽しむ人という感じですが、ある意味孤高の人ではなかったか。「孤愁」といった雰囲気を感じるのです。
展覧会会場は広くはないですが、資料の多さと工夫された展示構成、アットホームな雰囲気でとても楽しめる展覧会です。
安西水丸展会期 2021.4.24-9.20

安西水丸展
安西水丸展
安西水丸展
安西水丸展
安西水丸展
安西水丸展
安西水丸展
安西水丸展

安藤榮作展「天の所有物」ギャラリーNishiIma25
2020.10.18 岡山県津山市

10月18日、秋晴れの日に岡山県津山市で開催中の安藤榮作展「天の所有物」を見に行ってきました。会場は古民家を改装したギャラリーNishiIma25と元米倉だった倉庫で、その2会場に30数点の作品が展示されています。
数も多く内容も多彩な展覧会で、安藤さんの代表作である大作の「鳳凰」、「天と地の和解」、「光のさなぎ」、「2千体の人型」の他に、いくつかのシリーズ-「ゴロッとした塊」シリーズ(私が勝手に呼んでいるだけです)。ただそこにあるだけで存在の価値を持つ、抽象という理解が始まる前からあるような彫刻。その逆の「空気の狭間」シリーズ-外界の空気の圧によってできあがった板状の存在(これは安藤さん自身がそう呼んでいます)。こどもの造形のような動物シリーズ、直角に曲がる人型シリーズなどが築200年の旧家にインスタレーション展示されています。
荘厳さとユーモアが同居し、抽象と具象などといった境を軽々と飛び越え、思いもよらぬところから生み出される自由自在さが安藤彫刻の魅力の一つだろう。この自由さは安藤さんの人間や宇宙に対する理解の深さによるものであろうが、それとともに彫刻に対する理解でもあると思う。
安藤さんの作品は斧1本だけで削る、ある意味単調な制作によって作られる木彫ですが、できた作品はものすごく豊かで人間の根源的存在性を感じさせます。それは彫刻という伝統的で厳密な形式の価値ややっかいさの諸々を深く受け止めて初めて、この自由で柔軟な表現ができるのだと思う。
彫刻であるべき必然性、つまり彫刻の芸術的可能性に対する深い洞察と理解なくしては出現し得ない作品だと感じました。

安藤榮作展
安藤榮作展
安藤榮作展
安藤榮作展
安藤榮作展
安藤榮作展
安藤榮作展
安藤榮作展
安藤榮作展
安藤榮作展
安藤榮作展

B-galleryでの個展が終了しました(2020.9.21)

B-galleryでの個展「キオクノウツワ」(2020.9.8-9.20)が終了しました。
(展覧会の様子は「exhibition」の個展 第21回/B-gallery(2020.9.8~9.20)をご覧下さい)

この時期にたくさんの皆様にご来廊いただきありがとうございました。
この3月に退職後、松江城に近い新しいスタジオで制作を開始し、コロナで身動きがとれなかった中、5ヶ月間描きためたものを発表することができて、とても幸運でした。
個展はその展示空間全体が1つの作品であり、B-galleryさんの明るくカジュアルながらも、清潔な空間で展示できたことは喜びでした。また自分としてはその中に身をおくことで完成を見るというか、やり終える事ができると考えているので、多少不安がありながらも上京できたことは本当に良かったと思っています。
今回、高校・大学の同窓、元職場の同僚、教え子達も駆けつけてくれて、楽しい時を過ごすこともできました。
在京中、松江は何回か大雨が降り、帰松すると季節が移っていました。
今は次のグループ展の制作をしています(「exhibition」のグループ展2020 CAF.N展(2020.11.4-11.15)
これからまた籠ってこつこつと制作の日々です。
また皆様にお会いできる日を楽しみにしています。ありがとうございました。

B-galleryでの個展
松江
新しいスタジオ

森アーツセンター「バスキア」展 2019.9.21(土)~ 11.17(日)

現代美術の文脈からは外されがちなバスキアだけど、そんなこととは関係なく昔から好きだったなぁ。バスキアの絵は何かホッとするというか、生身の人間そのもののような親近感がある。今回の展覧会は点数も多く、結構見ごたえがあった。
そういえば、ジュリアン・シュナーベルの「バスキア」(1996)もよかった。デヴィッド・ボウイがウォーホルをやっている。ジョン・ケイルの「ハレルヤ」にもしびれた。

バスキア
バスキア
バスキア
バスキア

「塩田千春展:魂がふるえる」 森美術館 2019.6.20(木)~ 10.27(日)

塩田千春は今まで結構見ているし、今更どうなのかなぁと思いながら友人に誘われるまま見たけどやっぱ、すごかったです。
作品がすごいのは前から知っていたけど、今回は彼女の生身のセンシビリティに触れた気がしました。
塩田の関心は精神(魂)と肉体(身体)、内面と外界の乖離と融合にあるように感じた。その感受性が鋭すぎて、作品としてなんとかしないと自分が崩れてしまう、そんな切羽詰まった怖さまで感じさせます。だから内や外、またその境界となる血液、骨や皮膚、糸、土や窓などをモティーフとして、それを自分の身体を通してどうにか外(他)と繋ぎ合わせられないかと苦闘することが作品になっていると解釈しました。特にドイツ留学中のアブラモビッチやレベッカ・ホーンに師事して模索していた頃のパフォーマンスは、その希求が真っすぐで、無防備で文字通り体当たりで痛々しいほどです。
今まで完璧に出来上がったインスタレーションしか見てなくて、やっぱ天才だなぁとか思うだけだったけど、涙ぐましい格闘の軌跡を見た後の今回の結論としては(すごく当たり前で陳腐な表現になってしまうけど)、天才的な作品とは、身を切る痛みの果てにしか実現できないものだということでした。

塩田千春展
塩田千春展
塩田千春展
塩田千春展
塩田千春展
塩田千春展
塩田千春展
塩田千春展

写真集「留鳥」(蒼穹社刊)発行記念
伊藤昭一写真展 丸京庵市民ギャラリー 2019.7.6-7.15

全体としての被写体はなんだか定まらないのに、雑草や水面のディテイルがやけにキラキラ克明に見える伊藤さんの写真。
見ていると、意味を剥ぎ取られた世界の得体の知れなさとともに、その裏にあるかもしれない見知らぬ世界を垣間見たいという誘惑に駆られる。

伊藤昭一写真展
伊藤昭一写真展
伊藤昭一写真展
伊藤昭一写真展
 
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