安西水丸展 世田谷文学館 (2021.8.18)

いつもは一応美術家として展覧会を見ますが、これだけはほとんどファン心理です。ただただ見たい。
ペンの細いスミ線と明快な色面(パントーン)のスタイル、その後の下手っぴ風な色鉛筆の直描きイラスト、村上春樹や嵐山光三郎らとの交友、俳句、お酒や旅などのエッセイ、どれも好きですが一番好きなのは小説です。
「手のひらのトークン」などの淡々としたニューヨークものもいいですが、「アマリリス」などちょっと隠微な恋愛ものも結構あって密かに好きです。
多才多趣味で余裕があり、優雅に人生を楽しむ人という感じですが、ある意味孤高の人ではなかったか。「孤愁」といった雰囲気を感じるのです。
展覧会会場は広くはないですが、資料の多さと工夫された展示構成、アットホームな雰囲気でとても楽しめる展覧会です。
安西水丸展会期 2021.4.24-9.20

安西水丸展
安西水丸展
安西水丸展
安西水丸展
安西水丸展
安西水丸展
安西水丸展
安西水丸展

ピーター・ドイグ(国立近代美術館)、オラファ・エリアソン(東京都現代美術館)展 (2020年10月4日)

先日、東京滞在時に本務とは別にどうしても行きたい展覧会があって、行ってしまった。ピーター・ドイグ(国立近代美術館)とオラファ・エリアソン(東京都現代美術館)。
幸いなことに両展とも当日発券があり、開館前に並んで入れました。
以下、個人的な感想です。

ピーター・ドイグは、結局よくわからない。個人的、地域的なテーマを扱っているのだろうけど、それに思い入れや個性があるのかと言えばそうでもなさそう。近代的な文法を引用しているところもあるけど、逆に美術の埒外に出そうな危うい雰囲気もある。それで結局これは何?って言ってもよくわからない。みんな頭に?マークを付けながら見ているのではないか。それがいいんだろうな。わからないことが危険な誘惑になってみんな見に行っているのでは。

ピーター・ドイグ
ピーター・ドイグ
ピーター・ドイグ
ピーター・ドイグ
ピーター・ドイグ
ピーター・ドイグ

オラファ・エリアソンもすごい人気だった。若い女の子がキャッキャして写真を撮っていた。ある観念や事象(それもみな人間として大事なこと)を気づかせる装置としてのインスタレーションが多く、それが視覚的にも楽しい。森美術館でやっていたレアンドロ・エルリッヒの楽しさとはタイプも違うし深さも違う。
人間の良質な部分と言うか、向かうべき人間性というか、そういうものを美術という形式で見事に実現している。日本も世界も人間の見にくい部分ばかりが目に付いて、いい加減イヤになってしまう昨今では本当に救われた気分になる。
それにしても、こんな楽しい展覧会がたくさんあるのに、見に行きづらい現状はやはり悲しい。

東京都現代美術館
オラファ・エリアソン
オラファ・エリアソン
オラファ・エリアソン
オラファ・エリアソン
オラファ・エリアソン
オラファ・エリアソン

B-galleryでの個展が終了しました(2020.9.21)

B-galleryでの個展「キオクノウツワ」(2020.9.8-9.20)が終了しました。
(展覧会の様子は「exhibition」の個展 第21回/B-gallery(2020.9.8~9.20)をご覧下さい)

この時期にたくさんの皆様にご来廊いただきありがとうございました。
この3月に退職後、松江城に近い新しいスタジオで制作を開始し、コロナで身動きがとれなかった中、5ヶ月間描きためたものを発表することができて、とても幸運でした。
個展はその展示空間全体が1つの作品であり、B-galleryさんの明るくカジュアルながらも、清潔な空間で展示できたことは喜びでした。また自分としてはその中に身をおくことで完成を見るというか、やり終える事ができると考えているので、多少不安がありながらも上京できたことは本当に良かったと思っています。
今回、高校・大学の同窓、元職場の同僚、教え子達も駆けつけてくれて、楽しい時を過ごすこともできました。
在京中、松江は何回か大雨が降り、帰松すると季節が移っていました。
今は次のグループ展の制作をしています(「exhibition」のグループ展2020 CAF.N展(2020.11.4-11.15)
これからまた籠ってこつこつと制作の日々です。
また皆様にお会いできる日を楽しみにしています。ありがとうございました。

B-galleryでの個展
松江
新しいスタジオ

森アーツセンター「バスキア」展 2019.9.21(土)~ 11.17(日)

現代美術の文脈からは外されがちなバスキアだけど、そんなこととは関係なく昔から好きだったなぁ。バスキアの絵は何かホッとするというか、生身の人間そのもののような親近感がある。今回の展覧会は点数も多く、結構見ごたえがあった。
そういえば、ジュリアン・シュナーベルの「バスキア」(1996)もよかった。デヴィッド・ボウイがウォーホルをやっている。ジョン・ケイルの「ハレルヤ」にもしびれた。

バスキア
バスキア
バスキア
バスキア

「塩田千春展:魂がふるえる」 森美術館 2019.6.20(木)~ 10.27(日)

塩田千春は今まで結構見ているし、今更どうなのかなぁと思いながら友人に誘われるまま見たけどやっぱ、すごかったです。
作品がすごいのは前から知っていたけど、今回は彼女の生身のセンシビリティに触れた気がしました。
塩田の関心は精神(魂)と肉体(身体)、内面と外界の乖離と融合にあるように感じた。その感受性が鋭すぎて、作品としてなんとかしないと自分が崩れてしまう、そんな切羽詰まった怖さまで感じさせます。だから内や外、またその境界となる血液、骨や皮膚、糸、土や窓などをモティーフとして、それを自分の身体を通してどうにか外(他)と繋ぎ合わせられないかと苦闘することが作品になっていると解釈しました。特にドイツ留学中のアブラモビッチやレベッカ・ホーンに師事して模索していた頃のパフォーマンスは、その希求が真っすぐで、無防備で文字通り体当たりで痛々しいほどです。
今まで完璧に出来上がったインスタレーションしか見てなくて、やっぱ天才だなぁとか思うだけだったけど、涙ぐましい格闘の軌跡を見た後の今回の結論としては(すごく当たり前で陳腐な表現になってしまうけど)、天才的な作品とは、身を切る痛みの果てにしか実現できないものだということでした。

塩田千春展
塩田千春展
塩田千春展
塩田千春展
塩田千春展
塩田千春展
塩田千春展
塩田千春展

六本木クロッシング2019展:つないでみる
2019.2.9(土)~ 5.26(日)(森美術館)

いつもながら、出張ついでの美術館巡り。
今週は面白い展覧会がいくつもあり、限られた時間でどれを見るか迷ったのですが、結局「六本木クロッシング」に。
この手の実験的な大規模現代美術展は、私の場合だいたい半分くらいは「うむ?」と首を傾げ、そのうちのいくつかは全く分からない、ということが多いのですが、今回の六本木クロッシングはどの作品も、表現すべき対象とその美術的アプローチや手法が確かで、その内実が素直に入ってきて、見ていてこちらも充実した時間が過ごせました。
今回の六本木クロッシングは、「現代社会が、政治や経済の問題、宗教や世界観の違い、突然の災害などで様々な悲劇に満ちている」ことを共通の認識として、それら様々な「分断」の悲劇に美術的手法を用いて立ち向かっている作品(25組、60点)が集められたということです。
また今回、その「現代の困難を乗り越える最も確かな方法として、『つながり』」をテーマにしています。美術に限らず「つながり」は意味を生成する根本的なものだと思いますが、今回の展示では「テクノロジー」「社会観察」「異質なもの」による「つながり」を、美術的な方法によって表現したものになっています。
いっぱい作品がありましたが、その中で私の好きな2点を紹介します。
まずは、佐藤雅春の《Calling(ドイツ編、日本編)》。映像作品で、どれも人がいない場面がいくつか出てきます。例えば誰もいないドイツの朝の食卓、放課後の職員室、住宅地を走る電車、桜の舞い散る公園など。そこにそれぞれ携帯電話、iPad、公衆電話などが置かれており、それらがしばらく鳴り続けて止みます。それだけですが、呼んでも届かない思いは抑圧の塊のようにも思え、それが寂しく、悲しく響いてきます。
続いて、万代洋輔の《蓋の穴》。万代の一連の創作活動の結果を記録した写真の作品ですが、その活動とは、夜中に車で不法投棄の現場に行き、落ちている廃棄物を集めて、別の場所で組み立てて、明るくなったら撮影するという、彼自身によって決められた手順にそって制作するものです。なんとも無駄で無意味な行為ですが、それをやらざるを得ない人間の習性というか、儀式のような神聖さを感じました。
他の作品もみな中身が濃かったです。

飯川雄大
飯川雄大
土井樹+小川浩平+池上高志+石黒博×ジュスティーヌ・エマール
土井樹+小川浩平+池上高志+石黒博×ジュスティーヌ・エマール
青野文昭
青野文昭
林千歩
林千歩
目
アンリアレイジ
アンリアレイジ
竹川宣彰
竹川宣彰
佐藤雅晴
佐藤雅晴
佐藤雅晴
佐藤雅晴
万代洋輔
万代洋輔
万代洋輔
万代洋輔
杉戸洋
杉戸洋
ヒスロム
ヒスロム
米谷健+ジュリア(MAMコレクション)
米谷健+ジュリア(MAMコレクション)

東京美術館・ギャラリー巡り(2018.11.9-11.12)

先週から今週初めにかけて見た展覧会から。

■「カタストロフと美術の力」(森美術館)

大惨事をテーマにした作品と相対しても、なかなか素直に受け止められない感じもある。自分は大した災害にも会ってなく、のほほんと毎日生きているという後ろめたさもあるし、美術家としてお前はどうするのかとかも突き付けられて、ずっと戸惑いながら会場を歩くことになる。惨劇の認識と美術作品としての成立はすぐに結びつく訳ではないけど、本展は加藤翼の、被災した灯台を模した建造物を引っ張り起こすプロジェクトや、宮島達男のLEDライトによる鎮魂プロジェクトなど、素直に被災者に気持ちを寄り添うことが出来るものが多かった。特に、オノ・ヨーコの青と白のチョークで自分の思いを書く作品は、無宗教の私が祈りの気持ちになった。

「カタストロフと美術の力」出品作
「カタストロフと美術の力」出品作
「カタストロフと美術の力」出品作
「カタストロフと美術の力」出品作
「カタストロフと美術の力」出品作

■「潜像の語り手」さわひらき(KAAT神奈川芸術劇場)

洗面台の中の海で泳ぐ本物の馬のような木馬とか、砂漠のようなカーペットのずっと遠くで歩くラクダだとか。幻視というか白昼夢というか。一人部屋で午睡から覚めた時のなんとも満ち足りたような懐かしいような寂しいような気持ちにさせられる映像作品。さわの映像からはいつも、自分自身の極私的な時間や空間が深く濃密に思い返される。孤独だけど何とも甘い。

さわひらき作品
さわひらき作品
さわひらき作品

■「僕らはもっと繊細だった」Lee Kit リー・キット(原美術館)

これも映像作品。映像と言ってもほとんど光だけくらいの些細さ。遮光幕に映った木漏れ日の光だけみたいな。そこにちょっとだけセリフのような言葉が入る。その淡くてミニマルな雰囲気から、その場にいる私の感情が自発的に生み出されるのを誘う作品?

リー・キット作品
リー・キット作品

■「樹々あそぶ庭々」浅見貴子+川口市立芝樋ノ爪小学校5年生29人(川口市立アートギャラリー・アトリア)

墨を使って樹々を描く画家の浅見貴子の作品と、彼女が河口の小学校で行った「アーティスト・イン・スクール」授業「校庭の樹-墨の転々で描こう」の成果発表展。墨の持つ滲み、濃淡、強弱、太細等を使って児童が生き生きと点々や線を引いて樹々を描いていて気持ちがいい。
類型的な作品が一つもないのは、浅見が独断的な完成像を作らず、生徒の発想と感性を引き出しているからだと思う。

「樹々あそぶ庭々」作品
「樹々あそぶ庭々」作品
「樹々あそぶ庭々」作品

■「絵と窓の間」石田尚志(タカ・イシイギャラリー)

ドローイング・アニメーションによるインスタレーション。文句なく面白い。無機的な空間が光と線の動きで生きているように見える。見ていて飽きない。

石田尚志作品

■「8,or Hachi」リチャード・タトル(小山登美夫ギャラリー)

現在77歳の老人の作品とは思えない瑞々しさ。何だろうこれは。普段見慣れている日常品がそのままあるのに、何かわからないけど確かに生き生きとした新しい世界を現出させている。しかもユーモアたっぷりに。元々はポストミニマリズムの大作家らしいが、まったくすごいわ。

リチャード・タトル作品
リチャード・タトル作品

東京美術館&ギャラリー巡り 2017.11.16

先日行った六本木の小山登美夫ギャラリーの「ソプアップ・ピッチ」展があまりに良かったので、同時開催の渋谷ヒカリエの8/ ART GALLERYのほうにも行ってみた。カンボジアの土着性が圧倒的なエネルギーで空間全体に溢れている。

ソプアップ・ピッチ
ソプアップ・ピッチ

そこからGoogleを頼りに表参道まで歩いてGYRE3階のEYE OF GYREへ。「コンセプト・オブ・ハピネス-アニッシュ・カプーアの崩壊概論」展。いつ見てもカプーアには驚かされる。今回の展示作品は暴力的なエネルギーの塊のようなものだが、その中に冷徹なまなざしを感じる。

アニッシュ・カプーア
アニッシュ・カプーア

そこから100m歩くとエスパス・ルイ・ヴィトン。ここに入る時は、ピシッとしたスーツのお兄さんにドアを開けてもらうので、いつも緊張する。何も買わないので、そそくさと最上階へ。「ヤン・フードン(楊福東) 《The Coloured Sky: New Women II》」展。5枚のスクリーンを使った映像インスタレーション。水着を着た中国人美女5人と、馬とラクダが浜辺のセットのような場所にいる。表情を変えずスローに動く人とモノが時々色の光に包まれる。何を言っているのかわからないが、その不自然さになかなか目が離せない。

ヤン・フードン(楊福東)
ヤン・フードン(楊福東)

そこから千代田線で一駅。乃木坂で降りて新美術館の「安藤忠雄」展。平日なのにかなり混んでいる。貧乏なプロボクサーが建築に出会い、やがて海外で大きな仕事を任されるようになり、東大の教授にまでなったサクセスストーリーは一般的にも知れているし、それにもかかわらず、英語もしゃべれず、いつも庶民と同じ目線で未来を語る人間味にも惹かれる。コンクリートの壁による仕切りや箱型、階段やスロープに、抜ける空間や水などを組み合わせた空間は小気味いい。個人住宅から最近の公共施設まで模型と写真で紹介しているが、プンタ・デラ・ドガータなどの大型模型がすごくいい。

安藤忠雄
安藤忠雄

東京美術館ギャラリー巡り 2017.11.10

The ドラえもん展(森アーツセンターギャラリー)

あまりドラえもんに愛着があるわけでもなく、今さらとも思ったけど、見てみたらかなり面白かった。個々の作家のドラえもんの作品化が多様で面白く意外と見ごたえがある。
村上隆や奈良美智はお馴染みだけど、彼らのようにキャラクターを自分のスタイルで正面から作品にするのではなく、さりげなく扱っている梅佳代や後藤映則、カワクボリョウタにググッとくる(残念ながらこれらは撮影禁止)。

ドラえもん
ドラえもん
ドラえもん
ドラえもん
ドラえもん
ドラえもん
ドラえもん

他に六本木界隈のギャラリー。


パオラ・ピヴィ(ギャラリー・ペロタン)

パオラ・ピヴィ
パオラ・ピヴィ

アンドレアス・スロミンスキー(ワコウ・ワークス・オブ・アート)

アンドレアス・スロミンスキー
アンドレアス・スロミンスキー

千葉正也(シューゴアーツ)

千葉正也
千葉正也

ソピアップ・ピッチ(小山登美夫ギャラリー)

ソピアップ・ピッチ
ソピアップ・ピッチ

榎倉康二(タカ・イシイ・ギャラリー)

榎倉康二
榎倉康二

五者五様。それぞれコンセプトもスタイルも全く違う・・・のに、みんな面白い。回るの楽しい。

東京ギャラリー巡り 2016.12.4

東京ギャラリー巡り

日曜日はギャラリーも休みだし、目ぼしい企画展は見たし…ということで、今日は古い友人の高島君の個展を府中まで。

途中渋谷を通るといつも思い出す。3月11日ここに何時間も閉じ込められたことを。

高島君の作品は、紙に思念が宿っている。

高島君の個展
高島君の個展

それからミーハー的に代官山へ。初めての代官山。代官山ってどこにあるのかわからなくて、なんか東京の空の上にあるような気がしていたのだけど、、渋谷から歩いても行けるんだ。

北川フラムのアートフロントギャラリー。藤堂ー瓦礫の展示。瓦礫に嵌められたガラスもギャラリーも本人も素敵だった。

アートフロントギャラリー
アートフロントギャラリー

せっかくだからTSUTAYAにも寄った。芸能人に会わないかなと密かに期待したけど、まぁこんな混雑ではねぇ。

TSUTAYA
 
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