美術館&ギャラリー巡り 2016.11.11-11.14 ②
かつて清澄白河の倉庫で現代美術ギャラリーとして名をはせていた、小山登美夫ギャラリー、シューゴアーツ、タカ・イシイギャラリーが、今年10月六本木のcomplex665に、再度集合しオープンした。
当時、これらのギャラリーは交通的には不便な清澄白河に、外観からはわからないが、中に入ると広いスペースに大きな作品が並ぶというアメリカ型ギャラリーを作り、狭ぜました銀座型ギャラリーの常識を一転させたものだった。今回六本木に集まったことで、一足早く六本木にオープンしたオオタファインアーツ、ワコウ・アートスペースらや森美術館などとともに、ますます六本木を現代美術のメッカにしている。
今回はそのオープニング展など。
「樫木知子展」オオタファインアーツ 2016.10.21-11.19
虚弱体質系現代具象絵画の系譜かと。こういううすら寒い絵にはついていけない。
「小林正人展」シューゴアーツ 2016.10.21-12.4
入って正面の三角の作品。木枠やキャンバスと格闘しながら作品を文字通り立ち上げる作品は、絵画の可能性を引き出した小林らしい。最近それに馬や少女の像が出てきているけど、あれは何なのか?正直ガックリくるのだけど。他の現代絵画作家でも、例えば赤塚祐二の作品に作り物めいたパースの空間が出てきたり、丸山直文のステイニングに大きな人の顔が出てきたときはショックだったし、もっと前にはジャスパー・ジョンズの作品に壺や魔女の横顔が出てきたときなどとも似ている感じ。
絵画の革新的表現が時代の要請とあまりにもぴったりで完結しすぎていて、そこからの展開が難しくなったときに、このようなある種嘘くさい、マイナーな表現に入り込むことがあるのだろうか。それとも人の期待を裏切ることに密かな快感でもあるのか。
しかし、これでダメになったと即断することはできず、その後も皆それなりの展開をしていることも事実。よいかどうか私には判断できないけど。
「蜷川実花展」「Light of」小山登美夫ギャラリー2016.10.21-12.3
野外フェスなどの花火の光をとらえた作品。光の鮮やかさとその刹那的な熱気や逆にはかなさなども感じさせる。すごく質の高い良い作品だとはわかるのだけど、いつもなぜか心に響いてこない。
「Inaugural Exhibition : MOVED」タカ・イシイギャラリー2106.10.21-11.19
ギャラリーアーティスト22名によるグループ展。以前からちょっと気になっていた絵画の法貴信也の作品が変わってすごくよくなっていた。(上の左側の作品)それからクサナギシンペイ(下の左の作品)
「リアム・ギリック展」”Stardust Expression” TARO NATU ギャラリー(神田馬喰町)2016.10.14-11.12
「岡山芸術交流-Development」のアートディレクターをしていて、また前から気にもなっていたギリックを見に馬喰町へ。LED電球とテキストの展示。ライトの光の残像で空間がおかしく見える。よくわからなったけど、すごく頭がよくて意志が強い人だろうなと思った。
「トランス/リアル-非実態的美術の可能性 Vol.5 伊藤篤宏・角田俊也」ギャラリーαM 2016.10.29-12.3
αMはTARO NATUのすぐ隣の地下にあるのだけど、どこから入るのかよくわからない。表示もないし、ここに画廊があるとは近所の人も知らない(と思う)。以前から独自の骨太企画を続けてきたギャラリーαM。今回の角田俊也も面白かった。「フィールド録音」と名付けたその作品は、ある風景の前に立ち、そこに流れているであろう環境音、または振動を二人のこめかみにつけた聴診器でひろう。それをギャラリーのヘッドフォンでその場の写真とともに聴くのだけど、聞こえてくる振動(こんな音がしているのか)からはあまりにもその場の気配が生々しく伝わってきて鳥肌が立ちそうだった。
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