美術館&ギャラリー巡り 2016.11.11-11.14
「宇宙と芸術」展 森美術館 ~2016.7.30-2017.1.9
「宇宙といわれてもなぁ~」という感じでずっとパスしていた「宇宙と芸術」展だったけど、先日六本木のCOMPLEX665のギャラリーのかわいいお姉さんに、「宇宙と芸術展って意外と面白いって話ですよ~」と言われて、のこのこと行ってしまった。
レオナルド・ダ・ビンチの天体図の手稿と、ガリレオ・ガリレイの太陽の黒点観察図の手稿の現物がある。それを見たとき、脳みそが一瞬バワァ~ンとワープして、歴史の中の彼らとともにいる感じになって、それが一番印象的な不思議体験だった。まぁそれだけでも行ってよかったかなと。
柳幸典「ワンダリング・ポジション」BankART Studio NYK 2016.10.14-12.25
柳はあの有名な、アリが砂で作った国旗を崩しながら渡っていく「The World Flag Ant Farm」しか見たことがなかった。犬島の銅精錬所のプロジェクトもテレビで見ただけで。
このBankARTの大回顧展はさすがに見ごたえがあった。ここに来るといつもすごいと思ってしまうけど、この容積たっぷりの重い倉庫空間に、柳の数々のプロジェクト作品はそれ以上の重量感で迫ってきた。問題意識の確かさと、それに対応する計画の壮大さ、そしてそれを美術として的確に提示することによって生じるインパクトの大きさ、どれもすごいなぁと思ってしまう。
イカロス・プロジェクトは犬島のコンセプトをBankARTの空間を使って再現している。こういう体験ができるのか。犬島に行ってみたくなった。
「河口龍夫-時間の位置」展 川口市民ギャラリー・アトリア 2016.10.8-11.26
河口龍夫は2009年に東京国立近代美術館で素晴らしい展覧会(「言葉・時間・生命」)があったが、その時に並んでいた代表作の「DARK BOX」(1997年から採集している「闇」の箱)の2016年作成版がここにあった。そう、ここの闇が、もう少し正確に言うと、このギャラリー前の公園の地下30mの地下雨水調整池の[闇]が、今年度のDARK BOXに入れられた。これはここにゆかりのあるものとしては、うれしいことだ。
ただ、これだけではよく知っている河口龍夫で終わってしまうが、次の部屋の、時計が水の上に浮かんでいる「漂う時間の時間」や、船と蓮の実が空間に浮かんでいる「命の蜃気楼」、椅子が空中に並んでいる「椅子の成長」などのインスタレーションは、のびやかでみずみずしい空間性、時間性にあふれるものだった。確か今年76歳。全然脳が硬くなっていない。このしなやかさはどこからくるのだろう。
「迫り出す身体」展 埼玉県立近代美術館 2016.9.17-11.14
[NEW VISION SAITAMA 5] として埼玉にゆかりのある若手作家の企画展の第5弾。久々に身体が震えるほど興奮した。絵画の面白い作品を見るのが久しぶりだったからかもしれない。決して埼玉ローカルではなく、今を呼吸する美術として基軸になりうるものだと思った。絵画もインスタレーションも映像もあるが、どれもが自分の身体を拠りどころにして現前の世界と向き合い、何かを掬いあげ、その感覚の震えを作品にしている、その生々しさが私も震えさせる。
絵画は中園孔二、(写真にはないが)小左誠一郎、高橋大輔の3人。どれも素晴らしい。1990年代の絵画再生時の大袈裟な悲壮感と使命感もなく、その後の小さい小さい物語としての強弱体質的、貧血気味な細々しい絵画でもなく、本当に身体を呼吸している感じ。こういうものが生まれるのはすごいと思う。
二藤健人のインスタレーション「pillow talk」は、吊り下げられている小さな部屋に入り、真っ暗な中、そこに敷いてある布団に入っている大きな爆弾と添い寝をするという作品。爆撃音も聞こえる。これはホントに怖かった。もちろん戦争は経験してないが、本当に部屋を暗くして焼夷弾の投下に怯える気持ちになった。
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