「塩田千春展:魂がふるえる」 森美術館 2019.6.20(木)~ 10.27(日)
塩田千春は今まで結構見ているし、今更どうなのかなぁと思いながら友人に誘われるまま見たけどやっぱ、すごかったです。
作品がすごいのは前から知っていたけど、今回は彼女の生身のセンシビリティに触れた気がしました。
塩田の関心は精神(魂)と肉体(身体)、内面と外界の乖離と融合にあるように感じた。その感受性が鋭すぎて、作品としてなんとかしないと自分が崩れてしまう、そんな切羽詰まった怖さまで感じさせます。だから内や外、またその境界となる血液、骨や皮膚、糸、土や窓などをモティーフとして、それを自分の身体を通してどうにか外(他)と繋ぎ合わせられないかと苦闘することが作品になっていると解釈しました。特にドイツ留学中のアブラモビッチやレベッカ・ホーンに師事して模索していた頃のパフォーマンスは、その希求が真っすぐで、無防備で文字通り体当たりで痛々しいほどです。
今まで完璧に出来上がったインスタレーションしか見てなくて、やっぱ天才だなぁとか思うだけだったけど、涙ぐましい格闘の軌跡を見た後の今回の結論としては(すごく当たり前で陳腐な表現になってしまうけど)、天才的な作品とは、身を切る痛みの果てにしか実現できないものだということでした。
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