美研のあれこれ③
春霞のスカイツリー 2011.3.11 10:00 地震前
3月11日午後2時43分、たまたま私用で東京に来ていて、渋谷に向かうバスの中で地震に会いました。異様なバスの揺れがおかしいと思った時には、ビルから人が溢れだし瞬く間に街中が混乱状態となりました。
テレビの報道などでご存じのようにその日は交通機関がすべてストップし、溢れかえる人たちをかき分けながらホテルまで歩いて帰りました。
そして事態の本当の恐ろしさを知ったのはその夜から2,3日の間に次々と入る震災情報によってでした。津波による何万人もの死者・行方不明者。無残な瓦礫の山・・・・とともに原発事故の刻々と深刻化する状況。
特に原発の事故は、メルトダウンが起こったら日本中いや世界的規模での大惨事になりかねないものなので、テレビの報道を見ながら本当に胸がつぶれる思いでした。建屋の爆発や燃料棒の溶融報道のたびに「もうダメか」とまで思い、チェルノブイリ級の事故までひどくならないことを祈りました。(まったく神頼みなどしない私がこの時ばかりは神様がいてほしいと思いました)
1980年代、私は以前いた職場で「原発はいらない友の会」という団体に入っていて、反原発運動や勉強会をしていました。その頃勉強した記憶がよみがえってきました。・・・・核分裂を制御する力は人間にはない。核廃棄物の処理方法はない。原発から出ている微量な放射能は周辺に植えたムラサキツユクサの花の色が変わるのでわかる。被爆した魚を食べた魚を食べると何十倍にもなって体内被曝する・・・いわゆる食物連鎖による生物濃縮。被曝量と癌発生の因果関係は、例えれば目隠しをして道路を渡るときの自動車の多さに比例。沸騰水型と加圧水型の発電の違いとその危険度。福島原発は沸騰水型。島根原発も沸騰水型の最古のもので私が住んでいる松江市は原発から約10キロ。日本で唯一原発のある県庁所在地・・・・・・などなど。
破滅的状況は今のところ免れたようですが、その後放射能を含んだ水、野菜、土壌・海水汚染など次々と問題が露わになっています。多くの放射能はほぼ永久に無くなりません。本当の恐怖はこれからでしょう。現実的、経済的な打撃だけでなく人々の胸に宿った不安と悲観は人の心をどれほど蝕むのでしょう。
80年代当時、交付金により原発推進を進めた政府、札束をばらまき地域住民に建設を認めさせた電力会社。多くの反対を押し切り進められた疑問だらけの原発行政。現実にこの事態が起こった今彼らの責任は重い。
今、私たちには何ができるのか・・・皆が考え、すでにボランティアなどの活動をされている多くの方達には頭が下がります。芸術に携わることについてはまずは無力感が先に立ちます。いますぐ現実な支援はできないからです。「僕のプレーでみんなを勇気づける」といった類の問題ではありません。ただし私自身これで美術を辞める気はないですし、どういった力になるかはまた考えをまとめてみたいと思います。芸術は常に人間存在の尊厳の核にあるものを希求して来ました。こういった事態で人間が人間とし尊厳を持ち得ることは非常に難しくまた大切なことです。そういう意味で、人間が芸術を持ち得ているということがきっと力になると信じます。
しかし今はまず今自分ができることをやること。自分の仕事を果たすことが日本の再興につながっていることを信じ、またつながるよう考え仕事をすること。それしかありません。まずは学生指導や授業。学生たちと話す一つ一つのこと、それらがみなこれからの日本を造っていくことにつながることを信じやっていきたいと思います。
前書きが長くなりました。これからは地味ですが普通に起こったわれら美研のあれこれを記録していきたいと思います。特に卒業に関する行事が普通に、楽しく、しかもそのどれもが多くの美研生の心をこめて行われたものであったことは、それだけでも幸せなことなのだと改めて思います。
〇ゼミ追いコン 3月2日(水)
どういうわけか私たち絵画ゼミの追いコンは、毎年スポーツ大会、プリクラ撮影、飲み会をするのがしきたりになっています。今年のスポーツはスケート。初心者が多く、子供用リンクでフラフラ滑っていましたが、その不恰好さもかわいさのうちということで。記念撮影は自動シャッターをセットしてあわてて滑ってきたHさんがすってんころりん。あまりにベタな写真になってしまいました。これはヤラセではありません。(写真①)
写真①
〇追いコン 3月16日(水)
今年の趣向は「食わず嫌い王」ゲーム。教員チームと卒業生チームで争いました。私の「たまねぎ」嫌いをみごと当てられ「参りました」。在校生が丹精込めて作った「卒業生の4年間」画像放映会でも大いに盛り上がりました。(写真②)
写真②
〇卒業式 3月25日(金)
23日の「謝恩昼食会」を経て、25日が卒業式(写真③)。美術専攻卒業生6人のうち5人が教員、一人が民間企業社員として社会に旅立ちます。一人ひとり力を尽くして大震災後の日本をともにつくりあげよう。教育はこれからの日本再興の核となるものだと思います。
写真③
〇「マーチ展」美術専攻3回生展
3月19日(土)〜21日(月) 旧奥谷宿舎
3年ほど前から3年生がこの時期に自主的にグループ展をするようになっています。3年次は美術館ワークショップ活動、教育実習Ⅲ、Ⅳ、Ⅴなど教育臨床活動が年間にわたり行われ、専門研究(制作)をする時間がなかなか取れないのが実情です。それらの実習がひと段落する1月頃から卒業制作に向けて本格的に研究を開始しますが、そのきっかけとして3年生自らが展覧会を企画するようになりました。
まだまだ始めたばかりで、コンセプトもスタイルも固まっていませんが、卒制への勉強の段階として必死な学生の姿を感じていただけたら幸いです。(写真④彫刻ゼミ生T君作品)(写真⑤絵画ゼミ生Fさん作品)(写真⑥デザインゼミY君作品)
写真④彫刻ゼミ生T君作品
写真⑤絵画ゼミ生Fさん作品
写真⑥デザインゼミY君作品
〇「福間春奈」イラスト展 [ちるどれん]
3月19日(土)〜21日(月) 雑貨店「ちろり」
昨年度デザインゼミ卒業生で、保育園で働いている福間春奈が、松江城近くの雑貨屋さん「ちろり」の二階で子供をテーマにした個展を開きました。子供の好きな福間は職業も保育士さんを選びましたが、その経験と思いをイラストで表現した展覧会です。これからまたあこがれの仕事頑張ってください。(写真⑦DM)(写真⑧会場風景)
写真⑦DM
写真⑧会場風景
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