大阪・京都・長野 美術紀行(2017.5.1-5.7)
ここ数年GWは長野方面にドライブに行っています。今年も1週間で約2000キロ走ってきました。
途中大阪でまず休憩。国立国際美術館の①ライアン・ガンダー。京都に回って西本願寺と東寺。長野では3日間を小布施や佐久、善光寺と八ヶ岳まで足を延ばして②キース・へリング美術館に。
帰りは大津の歴史博物館で③「2019CAF.Nびわこ」展のレセプションに参加させていただき、翌日、④大山崎山荘によって帰ってきました。
①ライアン・ガンダーは最近ビエンナーレなどでよく見かけます。コンセプチュアルアートの旗手ですが、彼の作品もコンセプチュアルであることの宿命として、ただ見るだけでは(いわゆる感覚を通してでは)理解に至らなく、何かの概念と結びつくことで初めて意味ある世界像が脳みそに広がるので、なかなか難しいです。例えば、鏡面に絵具が置かれていて、一見抽象絵画に見える作品がずらっと並んでいる作品がありました。どう贔屓目に見ても抽象絵画としたら出来がいいとは思えませんが、これがそれぞれの制作者が色を混ぜたパレットだと知った瞬間、まだ見ぬ(見えぬ)膨大な数の作品が頭の中でボワッと渦を巻くように浮かんできました。それはそれは豊饒なイメージの経験でした。
②八ヶ岳の優雅な避暑地に「中村キース・へリング美術館」があって、私は星野リゾナーレではなくそこを目指しました(本当です)。いやぁ素晴らしかった。こんなところにこんな素敵な美術館があったとは。建築と作品が一体となって私たちを楽しませてくれます。多彩な空間と直描きの作品が呼応して、そこを歩いて進む間ワクワクが止まりません。おなじみのアイコンに会えるのも楽しいですが、エイズを診断された後制作された、詩人ウィリアム・S・バロウズとの共作「アポカリプス(黙示録)」は線が震え表現主義的な作品になっています。また、死を宣告された時の作品「無題(トライアングル)1988年8月15日」には地の底から何かが襲ってくるような不気味さがあります。今まで知っていたのとは全く違うキース・へリングを見ました。
③「2019CAF.Nびわこ」展は私も参加しています。主に関西圏の作家が一人ひとり自分の打ち立てた世界を地道にしかも確実に表現していて、美術の芸術的意義に誠実な向き合える展覧会だと思います。
④いつも名神を走っていて、いつか行ってみたいと思っていたのが大山崎山荘です。今回「漱石と京都」という企画展示でしたが、生誕150年を記念してか最近いくつか漱石関連のテレビドラマを見ていたので興味深かったです。手紙で見た直筆でのいかにも神経質で頑固そうな字は面白かった。
加賀という実業家が設計したこの山荘へのこだわりには、もともとあまり興味がなかった私も最後はすごいと感服しました。
最近安藤忠雄を悪く言う人が多くなったような気がするのだけど(気がするだけですが)、やっぱいいんじゃないかなと私は思う。いろいろ批判はあっても批判されるだけの大きな内容を備えているので、基本私は尊敬しています。
庭園。バリー・フラナガンは結構あちこちで見ます。
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