京都場・中津川浩章個展(2019年4月20日(土)〜5月29日(水))
FBなどを通して作品やその活動(主にアートを通した障がい者支援)をずっと見させていただいている中津川浩章さんの作品本物をようやく見ることが出来た。
中津川さんの作品の生命線が文字通り「線」にあることは疑いようもないが、(それはチョット置いておいて)私には絵具のピグメント感が強いのが前から気になっていた。あのバイオレットブルーは何の顔料を何のメディウムで練っているのか(聞いてないのでわかりませんが)。市販のアクリル絵具かもしれないけど。ほとんど、いや多分まったく水で薄めない絵具を、硬めの筆で(使い込んで穂先がちょうどよく固まった筆か。これも聞いてません)ローキャンバスに押し付けるように描いている。それでマティエールとしてはかさかさしてマット(艶消し)にはなるのだが、顔料の粒子がキラキラ輝いているように見えるのが魅力的だ。
で、その「線」ですが、見た時にいろいろな思いをあふれさせ、強く引き付けられるその線は、その魅惑に抗しがたいという点で官能的だが、それとともに厳粛なものを感じる。多分描いている時は意図から離れ、なるべく無私になることは必要だろうが、それは単なる無意識とは違い、瞬間の決定でもそこには永遠に近い記憶や、描いてないときにした沈思黙考というか、思念の堆積が同時にあるのではないか。それがアクションペインティングなどとは違う画面の質を形成しているように思う。
ともかく引き初め工場の跡地という京都らしい時間が堆積している「場」(京都場)で、中津川さんの思念で充電され、ライトアップされた作品はとてもよく合っていた。
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