第3回山口画廊個展(2009/3/28ー4/17)

山口画廊にお世話になるのはこれが3回目。

個展DM
(個展DM)

このHPの[exhibition]の欄で過去の個展の様子はお伝えしてあるので、それをご覧ください。
2005年の最初の時は、アクリルのメディウムを画面に流してマティエール効果を狙ったもの多かった。
同じ制作手順で、版画のコラグラフ作品も制作し、ペインティングとコラグラフ半々ぐらいの展示でした。
2007年の第2回展は漠とした空間に日常品や自然物をコラージュするスタイルのペインティング作品を並べました。
今回は絵の具を乗せたり削ったり拭いたりしてるうちにできてくる空間に導かれながら、手の動きに任せた作品を作ってみました。

Neutral Space
(Neutral Space No.43)

また今まで多用していたコラージュやマティエールにはなるべく頼らないようにしました。
詳しくはまたexhibitionの欄に載せます。
27日に上京して飾り付け。28日と29日は画廊で来客者と懇談をして過ごしました。

画廊展示風景
(画廊展示風景)

焼きたてのパンを抱えならふらっと入ってくる主婦の方や、花見やドライブの帰りに立ち寄るご夫婦などが熱心に作品を見てくれて、さすが千葉の閑静な住宅街の中にある画廊だなぁと感心しました。
こんな人たちとの付き合いを通して山口さんは画廊経営をしているのだなということがよくわかりました。
山口さんのお人柄については[exhibition]の中で書いたとおりです。
また山口さんの書かれた私の個展のパンフレット「画廊通信 Vol.62 響き合う時空(第3回新井知生展)」が山口画廊のHPに載っているのでぜひご覧ください。
初日の28日、閉廊間際に私の大学時代の後輩と、埼玉の教師時代の同僚がどかどかっと入って来たので、記念撮影。

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(山口氏と知人)

一番左が山口氏。その隣が後輩の宮山加代子さん。木版画家です。彼女は日本中のデパートや画廊で個展をしていて、3月半ばにも岡山、米子の高島屋での個展の際に私のところに寄ってくれました。「花の木版画」「美しい花の木版画」などの本も出しています。
詳しくは「宮山加代子木版画ギャラリー」をご覧ください。
その隣は高島芳幸氏。創立当時のCAF(コンテンポラリー・アート・フェスティバル)で知り合って以来もう20数年にわたる友人で、埼玉県の高校の教師としても一緒に仕事をしました。5月6日から「ギャラリー現」で個展をするそうです。

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(高島氏の個展DM)

彼は生地の綿キャンバスをほとんどそのまま提示して「絵画」発生の仕組みや起源を探ったり、石とロープを使って重力を可視化するようなインスタレーションをしています。
いちばん右は金井田英津子さん。同じく大学の後輩で、今は挿絵装丁作家。萩原朔太郎の「猫町」や夏目漱石の「夢十夜」などの挿絵を手掛けている。図書館に行くと必ずあるので見てください。「画ニメ」というサイトでも見られます。

29日はぼちぼちのんびりでした。
暇な時間はもっぱら山口氏と雑談。
特に村上春樹談義に花が咲きました。
山口さんは最近「海辺のカフカ」「ねじ巻き鳥クロニクル」あたりにハマっているようで、私も「風の歌を聴け」の初版本を読んで以来の長い村上ファンで(私の制作のコンセプトやスタイルは村上から大きな影響を受けました。そのことは私の論文「絵画制作の理念とアクリル技法をめぐって(2)(このHPの[monograph]欄に掲載)」に書いているので興味ある方はどうぞ)、昔から最近の作品までお互い持論を展開。
特に先日の、「エルサレム賞」受賞時のイスラエルでのスピーチでの「大きな壁にぶつかって割れる卵」の話は二人とも大感激で、本当に村上はすごい!と盛り上がりました。

(村上春樹は他に「文学は最古のメディアの一つ。ほかのものでは代替不可能な、特別なメディア・ツールとして、積極的に使っていきたい。」と語っていました[海辺のカフカへのインタビュー(2003)で]。絵画も古くて、ほかのものでは代替不可能な、特別なメディア・ツールであると思う。現代の、概念を基としたインスタレーション作品にも強く惹かれるけど、絵画として凛としている作品を描きたいという気持ちはなくならない)


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